ANAの超巨大機「A380」 機体洗浄も規格外だった! 担当者に聞く他機との“洗い方”の違い
今回の洗浄作業、どんな感じだった?
2022年7月から、2年4か月ぶりにA380を定期便へ再投入するANA。それを直前に控えた6月にA380の機体洗浄を実施した担当者は、同型機における作業の特徴を次のように話します。
「通常の双発機であれば主翼がせり上がっているのですが、4発のエンジンを持つA380は、その分(エンジンの重さで)主翼が垂れ下がっているので、高さに気をつけて作業する必要があります。またA380は、主翼後部にある赤いマーキングが施されているパーツ『フラップトラックフェアリング』の大きさが他機種より全然大きいんです。キレイに洗おうと思って近づきすぎると、そういったパーツに車両が当たってしまう恐れもあるため、そこも注意が必要です」
そして、A380の洗浄作業を見るなかで最も刺激的な場面が、格納庫の天井ギリギリ、24.1mの高さを持つ垂直尾翼の洗浄。担当者も「他の機種とは全く大きさが違います。大きすぎて格納庫の上部に改修を施したほどです」と話します。
「あまりに大きいので、軽く見ても作業時間は他機種の2倍、下手すると3倍かかる場合もあります。主翼と同じように機体に近づきすぎないよう、作業中はスタッフでコミュニケーションを取りながら進めています」(担当者)
こういった高所での洗浄作業は資格をもつスタッフによって実施されているそう。「高いところは慣れました!ただ、尾翼などはパーツが複雑に入り組んでおり、上も下も広い視野で作業をしなければならないので、高所作業を担当する資格を得るには、それなりの経験が必要です」と担当者は話します。
7月からANAのA380「フライングホヌ」は、成田~ホノルル線を週2往復する予定です。ANAブルーがテーマの初号機「JA381A」と、エメラルドグリーンがテーマの2号機「JA382A」の2機が路線に投入されることになり、2機ともに再就航初日までに洗浄が実施されます。担当者は「ハワイ楽しんでこいよ!と送り出してあげるつもりで、洗浄を実施しています」と話します。
【了】
Writer: 松 稔生(航空ライター)
国内航空会社を中心に取材を続け、国内・海外を奔走する日々を送る。ゆとり世代。
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