なぜ旅客機整備士が空自「F-15J」を洗っているの? 珍景広がる那覇基地の裏側を取材

那覇空港に隣接する航空自衛隊那覇基地。その裏側では、「旅客機の整備士が、なぜか空自F-15J戦闘機の胴体を洗っている」という珍しい光景が見られます。その作業に密着し、いろいろ聞いてきました。

2021年1月から開始

 那覇空港に隣接し、滑走路などを共用する航空自衛隊那覇基地。ここでは、ほかの国内基地ではまずないであろう、珍しい光景が見られます。「旅客機の整備士が、なぜか空自F-15J戦闘機の胴体を洗っている」のです。

 海に隣接する同基地の戦闘機は、塩によるサビや劣化を避けるため定期的に機体が洗浄されます。この作業は通常、航空自衛隊が自ら行いますが、那覇基地では、那覇空港に拠点をもつ「MRO Japan」が洗浄作業を担当しています。MRO Japanは、さまざまな航空会社からの依頼をうけ航空機整備を実施する整備専門の会社。これまで一般的だった「航空会社の整備部門」ではない、国内で初めてのスタイルを取る会社です。

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MRO Japanの整備士により洗浄される那覇基地の「F-15J」(2021年9月17日、乗りものニュース編集部撮影)。

 ただ先述の通り、MRO Japanで働く整備士のおもな担当分野は民間機です。なぜ空自の戦闘機の洗浄を受け持ち、またそれは作業者にとってどのような違いがあるのでしょうか。

 MRO Japanによると、同社の整備士による洗浄作業は2021年1月から開始されたとのこと。自衛隊では、那覇基地の「整備補給群」で実施されていた洗浄作業を担当する企業を探しており、これにMRO Japanが入札したことで、実現したそうです。

 洗浄は、MRO Japanの整備士が6人1チームになって実施します。まずコックピットのキャノピーと胴体の境目をはじめ、胴体中の隙間やエンジンなどをテープなどで覆う「マスキング」を実施します。この作業は、1機あたり2時間ほどにおよぶ洗浄作業のなかでも、半分以上の時間を要するほど。

 マスキングを丹念に施したあと、水や洗剤をかけ機体をブラシなどで磨いて、再度水をかけます。その後にマスキングを剥がし、作業は完了します。

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