74式戦車ズラリ 7年ぶりの「中部方面隊戦車射撃競技会」ほぼアナログ戦車“最後の競演”か
次回開催は「機動戦闘車射撃競技会」か?
そんな74式戦車ですが、近々完全退役を迎えようとしています。本州の戦車部隊は教育部隊を除くと全廃されることが決まっており、すでに中部方面隊の第14旅団は、以前こそ74式戦車を運用していたものの、第3師団、第10師団、第13旅団に先駆けて、新型の16式機動戦闘車を導入したことで戦車の運用を終えています。また、第3師団第3戦車大隊も2023年3月には戦車の運用を終える予定であり、第10師団や第13旅団も近年中に戦車部隊が廃止される予定です。
他の方面隊に目を転じてみても、2022年7月現在、まとまった数の74式戦車を運用しているのは、北海道の第2師団と、岩手県の第9師団だけですが、前者は90式戦車と10式戦車の運用部隊になり、後者は廃止されることが決まっています。
そのため、3個以上の74式戦車部隊が集結して戦車射撃競技会を行うのは、事実上これが最後といえるでしょう。
なお、競技会は4両で1個小隊を組み、前方に設置された的に向けて戦車砲と連装銃(機関銃)の両方を射撃するという方式です。的への距離は最大2km、その中には移動目標も用意されていました。
特有の甲高い金属音を響かせながら射場へと向かう74式戦車。後方では万が一の事故の際に駆けつける78式戦車回収車も見守るなか、最終的に第3戦車大隊第1中隊第1小隊が優勝を手にしていました。
ちなみに、今回の射撃競技会には前出の第14旅団からオープン参加という形で16式機動戦闘車2個小隊8両も参加していました。今後、74式戦車は減る一方なのに対し、逆に16式機動戦闘車は配備部隊を増やす予定です。今津駐屯地にも配備されるようであり、もしかしたら数年後は、16式機動戦闘車の部隊が一堂に会した「中部方面隊機動戦闘車射撃競技会」が行われているかもしれません。
【了】
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
90式の調達数を減らしてでも、74式をG型に改修していればいまだに現役だったろう。そうすれば10式も16式も調達せずに済み、自衛隊全体の装甲化が進んでいたろう。真面な予算運用の出来ない陸自は近代化に失敗し、新型のUAVも使いこなせず、UGVなど夢の世界。