戦車砲のサイドミラーって? ハイテク10式戦車はアリ 16式機動戦闘車はナシ…要らない?

総火演などで優れた命中精度を披露する陸上自衛隊の機甲部隊。90式戦車や10式戦車はハイテク装備で高い射撃精度を確保していますが、16式機動戦闘車はそこに「職人技」も加わるそう。その違いについて見てみます。

砲身先端についている「ミラー」の役割

 陸上自衛隊最大の実弾射撃演習といわれる「富士総合火力演習」。通称「総火演」とも呼ばれるこの演習で注目を集めるのは、やはり戦車の射撃ではないでしょうか。陸上自衛隊では74式戦車、90式戦車、10式戦車の3車種が現役であり、会場広場から遠く離れた的(てき)を狙って迫力満点の実射を披露しています。

 総火演では、例年、ほぼ百発百中ともいえる精密な射撃を行っていますが、その優れた命中精度を実現するため、戦車には各種の専用装備が取り付けられています。

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陸上自衛隊の16式機動戦闘車。砲身周りはスッキリしたデザイン(武若雅哉撮影)。

 たとえば「砲安定装置」と呼ばれるシステムは、上下、前後左右と複雑な動きをする車体の挙動を読み取り、砲身だけは常に的を狙い続けるようその動きをコントロールするものです。ほかにも、弾道と目標の未来位置とを算定し、常に射角を補正し続ける「射撃統制装置」なども、優れた命中精度を確保するために現代の戦車に必須のものとなっています。

 ただ、それらは基本的には車内に搭載されているため、外から見つけることはできません。とはいえ、それらと連動するものとして、戦車の精密射撃に欠かせない装置が、砲身の先端に取り付けられています。

 その名は「ボアサイト・ミラー(砲口照合ミラー)」。簡単にいうと「鏡」で、具体的には10式戦車の場合、砲身の付け根付近にある「砲口照合装置」からレーザーを照射して、ボアサイト・ミラーに反射させます。そのレーザーの跳ね返り具合で砲身の歪みを検知し、その誤差を射撃統制装置に入力することで、正確な射撃を実現しているのです。

【唯一無二】ボアサイト・ミラー付けた16式機動戦闘車の試作車ほか

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