ソニーEVを先取り? ヤマハ共同開発の“エンタメ低速モビリティ”沖縄で体験

ヤマハ発動機が50年近い販売実績のあるゴルフカートの技術を発展させ、自動運転もできる「グリーンスローモビリティ」の実用化を加速させています。観光客を集める沖縄・北谷では、ソニーと共同開発したエンタテインメント車両も登場しました。

「現実世界のなかにバーチャルな世界がシンクロ」を車内で体験

前方から襲ってくる巨大なサメの姿に思わず身を屈んだり、水牛車で沖縄民謡の弾き語りをのんびりと聴いたり――移動中の“車内”で、こうした体験をすることができました。

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ヤマハとソニーが共同開発した自動運転カートSC-1。

 ヤマハ発動機がソニーと共同開発したエンタテインメント車両「Sociable Cart(ソーシャブルカート):SC-1」が2022年7月現在、沖縄県北谷(ちゃたん)町内を運行しています。小さな自動運転車両のなかで、実際の景色とCG(コンピュータ・グラフィックス)を合成する「ミックスドリアリティ」(リアルとバーチャルの世界を融合)が展開されるというものです。

 運転手はおらず自動運転で、観光客たちが歩く夜の街をゆっくりと進んでいきます。フロントガラスや後ろの窓はなく、車内からはモニター越しにしか前方を見ることはできませんが、カメラが捉えた映像が高精細ディスプレイに表示され、視界は良好。移動する車内にエンタテインメント空間が作り出され、楽しい低速移動の価値が提供されています。

 これは「北谷観光 MaaS プロジェクト」の一環として、すでに実用化されているヤマハ発動機の「グリーンスローモビリティ」、通称“グリスロ”のうちのひとつ。北谷の街なかでは、このような自動運転のグリスロが決まったルートを巡回運行しているのです。

 ヤマハのグリスロは、もともとゴルフ場などで使われる自動運転の電動カートをベースにしたもの。観光客の周遊だけでなく、高齢者の移動手段としても活用でき、低炭素社会にふさわしい“新しい乗り物”として注目されています。それをベースに、ソニーとコラボし自動運転カートの車内で未来感あるエンタメを楽しめるものとしたのが、SC-1というわけです。

 ソニーは今後、EV(電気自動車)に本格参入しますが、そこでは車内のエンタメ、つまり移動中の車内における体験に新たな価値を与えることを重視すると見られています。SC-1はそれを先取りするモビリティといえるかもしれません。

 なおSC-1は通常、約5~6km/km程度で街なかを走行。乗車料金は大人1500円、子ども500円で、所要時間は片道15分(往復30分)となっています。

【EV=走る視聴覚室に?】ヤマハの自動運転カートいろいろ 写真で見る

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1件のコメント

  1. ヤマハ発動機と楽器大手のヤマハとで会社は違えど、「SONY」ロゴと「YAMAHA」ロゴが並んで表記されているのは何とも珍しいですね。
    ソニーとヤマハは一応ホームシアター機器等で競合していますからね。