車に緑・ピンク・紫・黄色…受け入れられるの? “攻めた”カラートレンド 生まれる背景
「『親ガチャ』なんてタブーが言えちゃう世の中」を捉えた
1コートの塗料は、たとえばトラックの白など、非常に簡素なもので、もはや乗用車向けには“タブー”だといいます。しかし、そんなタブーが言えてしまう、言うことが憚られなくなってきた、そうした世の中の変化を今回のカラートレンドは踏まえていると、松原さんは話します。
「『親ガチャ』なんていう言葉を聞きます。これもタブーだったはずです。でも、冗談っぽく言ってもオープンにして、あるがままの自分の状況を受け入れる。そのうえで自分らしく生きることが選択されているのです」
アジア太平洋のなかでも、とりわけ中国向けのキーカラーとされているのが黄色系の「RAN RAN(ランラン、リラックスの意味)」。これは、「少し主張があるけど、豊かで控えめな黄色」だといいます。
「中国ではいわゆる『寝そべり族』と呼ばれる人たちが、競争に疲れた若い世代にすごく共感を得ました。もがいてもなかなか今を脱せない、(ならば競争せず)寝そべっていれば倒れることはない、という考え方です。言い換えれば、自分らしさをもって、流れに身を任せていこうということ。そこで、少し元気が出るような、でも控えめで、自然に身を任せるような概念の色が、これからのクルマに使われるのではないでしょうか」(松原さん)
トレンドカラーとして打ち出された複数の色の全体的な傾向としては、前年に引き続き、「中間色」だといいます。何色か説明しがたい、あるいは、光の当たり方で別の色に見えるようなものです。
これには、コロナ禍やウクライナ情勢、急激なインフレ、エネルギー危機など、将来が予測できない、なんともいえない中間的な境遇にある世界の趨勢を捉えたものだといいます。
ただ、今年は、そのなかでも「少し方向性が見えてきた」ところだそう。前年と比べると、トレンドカラーのラインアップが全体的に「色が少しハッキリしてきた」といいます。その背景には、世界が「辛いところを受け入れて、なんとか自分たちで対処していこう」(松原さん)という気持ちに傾いてきていることがあるそうです。
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