元祖「もっとも醜い航空機」!? その名も“妊娠した魚” 世界に1機 超異形の飛行機なぜ誕生?

「妊娠した魚」と名付けられた珍機のその後

 なお、名称の「プレグナント・グッピー」と“妊娠したグッピー(魚)”と言う意味です。ちょっとエッジが効きすぎているネーミングな気もしますが、それほどこの機の外形が、意表をつくものだったということでしょう。

 エアロ・スペースライン社はこの「プレグナント・グッピー」をベースに、同じように巨大な貨物を輸送するためにボーイング377の胴体上部を更に大きく膨らませ、折れ曲がる機構を備えた機体を7機開発し、それらを「グッピー」シリーズとして展開します。

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パン・アメリカン航空のボーイング377(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 このシリーズでもっとも有名なものは「スーパー・グッピー」。胴体直径を従来機よりひと回り大きい7.6mとし、貨物収容力の向上を図ったものです。「スーパー・グッピー」はNASAでの運用のほか、欧州エアバス社のパーツ輸送も担うことになりました。

「プレグナント・グッピー」はすでに解体されていますが、「スーパー・グッピー」はまだNASAで運用されており、2022年8月には飛行する姿も確認され、一部の話題を呼びました。

 この「グッピー」シリーズで採用された、胴体を大きく膨らませ貨物機とするアイデアは、いまも民間航空界に引き継がれています。たとえば「スーパー・グッピー」の後継としてA300を改修したエアバス社むけ貨物機「ベルーガ」や、「ジャンボジェット」ことボーイング747を改造したボーイング社むけ貨物機「ドリーム・リフター」がこれにあたります。

【了】

【写真】スゴイ名前も見れば納得! 異形すぎる「プレグナント・グッピー」などの全貌

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Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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