都会の人は知らない? 立地が微妙な「高速道路上のバス停」どう使われているか

パーク&ライドが定着 課題は“わかりやすさ”

 新潟市は、中心市街地の渋滞緩和などのため、北陸道上の停留所周辺に駐車場を整備し、自家用車から高速バスに乗り継ぐ「パーク&ライド」通勤を促進しています。例えば鳥原(とっぱら)停留所周辺には400台の無料駐車場が確保されています。

 巻潟東ICに併設の巻・潟東停留所は、第3駐車場まで合わせて390台分。本来は、各地と新潟を結ぶ路線の途中乗降用に作られました。しかし通勤利用が増えたため、駐車場内に新設した停留所始発で、必ず座れて、かつ本線上の停留所まで向かわなくて済む便まで運行されています。

 通勤需要だけではありません。クルマ社会の地方部では、出張やショッピングなどで東京や大阪、あるいは地方中核都市などへ向かう際、多くの人が自家用車で自宅を出ます。信号の多い市街地へ向かい、駐車場を探して鉄道に乗り換えるのに比べ、郊外の停留所から高速バスに乗る方が楽で、トータルの所要時間も変わらないケースが多々あります。

 長野道は、松本IC前に200台のほか、本線脇にある長野道神林(松本市)に130台、長野道広丘野村(塩尻市)には185台という風に駐車場が充実していて、松本から新宿、名古屋方面への高速バスはパーク&ライドが定着しています。香川県も同様で、高松道の高松中央IC(高松市)付近に合計で300台以上の駐車場が整備されているほか、高速志度(さぬき市)、高速丸亀(丸亀市)など本線脇停留所にもそれぞれ数十台分が確保されています。

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北陸道の鳥原停留所には400台分の駐車場(成定竜一撮影)。

 観光客の利用の多い停留所もあります。御殿場IC併設の東名御殿場(静岡県御殿場市)には、東京駅やバスタ新宿からの高速バスが頻繁に到着します。そこから周辺施設への無料送迎バスが発着しており、「御殿場プレミアム・アウトレット」へは15分間隔、リゾート施設「時の栖」やゴルフ場などにも定期的に運行されています。

 ただ、東名御殿場は待合室こそIC併設停留所の中では大きいとはいえ、乗り換え案内の情報整理が十分とは言えません。費用負担など課題はあるものの、リゾート地の玄関口として、快適にバスを待てる環境づくりが望まれます。

 なお、本線脇の停留所は、現在バス停として使われず「管理用施設」となっている場所も含め、一般車は進入できません。クルマ旅行の際、同行者と停留所で合流、という行為は禁止されています。

【了】

【最高に便利じゃないか】「下から乗れる高速バス」をうたう駐車場(写真)

Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。

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コメント

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2件のコメント

  1. 新潟出身者として、おもしろく記事を拝見しました。「とっぱら」や「巻・潟東」など丁寧な表記も好感の持てる記事でした。とくに後者はインター名に「・」がないのにわざわざ「・」を加えて頂き、ありがとうございます。「・」がないと、他県の方は「まきがた・ひがし」と呼んでしまいがちです。

  2. 濃飛バス!かっこよ!!