そこは「天空の秘境IC」だった 「日本一長い名前のIC」越えて山奥へ 全通待ち続けて30年
山道を登った先に見えたものは
やがて矢筈ダムを過ぎたところで視界に入ったのは、天まで登るような円柱形の橋脚群と、絡みつくように何本も曲がりくねる高架橋でした。まさに「天空のIC」といった雰囲気、これが喬木ICです。
ここから山を貫く矢筈トンネルは1994(平成6)年に開通。それまで旧上村と飯田市を結ぶのは、狭隘で急勾配・急カーブが延々と続く赤石峠のみでした。遠山方面へ向かう教員や警察は周辺の峠道の過酷さに仕事を辞めたくなったことから「辞職峠」のあだ名がつけられたほどでした。4176mのトンネルの開通により、たびたび災害で通行止めとなるこの長い峠道を通る必要はなくなり、飯田市街への所要時間は大幅に短縮されることとなったのです。
「天空のIC」喬木ICの高架橋は深い山中で唐突に終わり、むなしく山肌にぶつかったまま、30年近い年月を経てきました。飯喬道路の全通により、いよいよ旧上村と飯田市街は山道をほぼ完全にショートカットし、直結されることとなります。
さらに三遠南信道では南側の青崩峠を越えるトンネルが建設中。浜松・豊橋方面へのアクセスも飛躍的に向上し、いよいよ”秘境”から”大動脈”へ変化を迎えつつあります。
【了】
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