知られざる「日本の潜水艦輸出」その後 タイで“地中に埋まる”まで 乗組員は千葉で訓練

日本に一切保存されていない、戦前の日本製の潜水艦。それがタイに一部保存されています。タイにとって記念すべき艦であったとともに、戦前の日本とのつながりの深さを示すものです。

WW2を生き延びた潜水艦 退役・解体のきっかけは

 当時の日本政府はこの国境紛争を仲介し、タイ王国に有利な形で停戦に持ち込んだことから、同国は日本との関係を深め、日本やドイツなどと同じ枢軸国の一員としてアメリカやイギリスなどの連合軍と戦っています。

 このため1945年には首都バンコクが連合軍機の空襲を受け、バンコク市内で停電が発生。そこでマッチャーヌ級は搭載する発電機でバンコク市内に電力を供給したと伝えられています。

 タイ王国は第二次世界大戦の終結後、連合国に対する宣戦布告は無効であると宣言し、これがアメリカに認められたため、日本やドイツのように軍隊は解体されず、マッチャーヌ級も第二次世界大戦を生き延びることに成功しています。

 しかし日本が敗戦によりメンテナンスを行えなくなったため、次第に運用が困難になっていたところ、1951年にタイ王国海軍が起こした「マンハッタンの反乱」と呼ばれるクーデターが失敗に終わったことから、そのあおりを食う形で同年11月30日に4隻とも退役しました。

 その後解体されてしまいますが、海軍だけでなくタイ王国にとっても記念すべき艦であることから「マッチャーヌ」の艦橋と8cm単装砲は保存され、タイ海軍博物館で保存展示されることとなりました。

 タイ海軍博物館は平日しか開館しておらず、筆者が訪れた日は直前まで豪雨に見舞われていたため、見学者は筆者一人でした。こんな日に博物館に来る物好きはどんなヤツだ? と思ったのか、屋外作業をしていたタイ海軍の方々から話しかけられました。筆者が日本から来たと知ると全員が「マッチャーヌを作った国から来たのか!」と言い、親しげな表情になったことが、印象に残りました。

【了】

【地図/写真】“すごくいい位置”で保存されている日本の潜水艦

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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