ベストセラー機C-130の後釜狙える? C-2ソックリな韓国の新型輸送機開発 あれこれ派生型も

海洋哨戒機や空中給油機、電子戦機などの計画も

 現在、韓国軍では輸送機の更新以外にも、海軍が現在運用しているP-3CK「オライオン」哨戒機の後継選定も控えており、さらに空中給油機や電子戦機といった潜在的な需要もあります。MC-X計画では輸送機タイプをベースに各種派生型を開発して、これら需要にも対応しようとしているようです。

 機体が大きい輸送機の場合、機内スペースが戦闘機などと比べて余裕があるため、改造や機器の追加がしやすくなっています。これまでも輸送機から派生モデルが開発された例は数多くあります。たとえば、航空自衛隊では、C-2輸送機をベースに、電子機器を搭載して機体外部に複数のアンテナを追加したRC-2という電波情報収集機を開発・運用しています。

Large 220926 mcx 02

拡大画像

前方から見たMC-X。デザイン的には現在の輸送機のトレンドをなぞった保守的なものとなっている。機体上部には空中給油用の給油口も描かれていた(布留川 司撮影)。

 ただ、MC-Xの派生型の開発は簡単なことではありません。事実、KAIの担当者も「派生型を開発するには、機体自体の改造はもちろんのこと、それぞれに必要な技術を開発し、機体に新しい機器を搭載する必要もあるでしょう」と、その困難さを素直に認めていました。

 しかし、同等の機体を海外から購入するよりも、国内企業であるKAIが開発することは、国内産業の発展や雇用を生み出すという経済的な利点があります。MC-Xでは機体性能だけでなく、それらの付随したメリットもアピールしているようでした。

 開発計画にゴーサインが出た場合、KAIでは10年以内に原型となる輸送機タイプの生産が始められると考えているそうです。その後、派生型の開発も順調に進んだ場合、2030年代には数多くのMC-Xが飛ぶようになると見立てている模様で、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)としては、場合によってはアメリカ製のベストセラー輸送機であるC-130の代替となる可能性もあり得るのではないかと感じました。

【了】

【物量投下のイメージも】MC-Xの全体画像&スペック表ほか

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. 成る程、デザインを見ると自衛隊のC-2に似ている。
    これを見る限り、日本の技術水準は高いと考えられ、C-2開発目的の一つは達成されていることが解る。

  2. 輸送機なんてデザイン見たら全部似てるだろ…C 1だって ミニC 5って言われてんだから