乗ったぜ「108歳の大型帆船」初来日した世界屈指のベテラン船 中身は全く前時代モノではなかった!
レーダーやAIS、電子海図で安全性もバッチリ
大西洋向けといえる同船ですが、太平洋の風と波に揉まれつつも順調に航海を続け、初めて乗船した人もマストに登って帆を広げる作業を手伝ったとのことです。ちなみにメインマストの高さは喫水線から48m。実際に作業した人に話を聞いたところ、マストから見る景色が好きで何度も登るようになったそうで、「機会があればまた乗ってみたい」という感想を聞くことができました。
航海に必要な計器は船尾楼甲板に設置されており、巨大な舵輪やエンジン・テレグラフ、ジャイロコンパスといった構成が船齢100年を超える帆船の雰囲気を魅力的なものにしていました。
しかし、それだけで終わらないのが「スターツロード・レムクル」。同船は主機関の交換など時代に合わせて改修を何度も受けており、2019年には帆走中に充電を行うハイブリッド発電機と組み合わせて排出ガス、エネルギー消費、騒音を大幅に削減するためバッテリーも搭載しました。もちろんレーダーや、AIS(船舶自動識別装置)、ECDIS(電子海図情報表示装置)も備えています。
レトロな航海計器のすぐ近くにはコングスベルグが開発したスラスター制御システムや推進制御システムなどのコンソールが設置され、常に最新技術でアップデートされているということもわかるようになっています。
「スターツロード・レムクル」は那覇港を9月28日に出港した後、石垣島を経由し、フィリピンのマニラに向かいます。ノルウェーへの帰港は2023年4月を予定しているとのことです。青空に映える白い船体を持つ美しい帆船が、また日本を訪れる日が来ることを願っています。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
「Grossherzog Friedrich August(グローシェルツォーク・フリードリッヒ・アウグスト)」
⇒ドイツ語 Grossherzog (大公)は、Gross で区切って herzog です。グロース ヘルツォーク(発音 古!)
今ならヘアツォーク。。