「最前線の負傷兵を担架で運べ」って時代じゃない! 救命に無人車両 ウクライナでも
日本メーカーはどうしてる?
川崎重工業の子会社であるカワサキモータースは、10月5日から7日まで東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展2022」に多用途四輪駆動車「MULE」の無人走行型デモンストレーター(技術実証車)を出展しました。
MULEはレジャー用に開発された車両ですが、高い不整地走行性能は海外で高く評価されています。またMULEシリーズの「MULE PRO-FXT」は陸上自衛隊と海上自衛隊に汎用軽機動車として採用されているほか、「MULE PRO-FX(EPS)」も大手消防車メーカーのモリタから小型オフロード消防車「Red Ladybug」のベース車両として採用されるなど、国内でも官公庁を中心に需要が増加しています。
無人走行型のMULEはオペレーターによる遠隔操作に加えて、STエンジニアリングのCASEBACと同様の自律走行能力やプレイバック機能も備えており、負傷者の後送にも十分使用できるのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
防衛省は令和5年度予算の概算要求で、5年以内に防衛力を強化するための施策の一つとして、「無人アセット防衛能力」の整備を打ち出しています。
その一環として導入を計画しているUAVやUGVを、防衛省が負傷者の救命や後送に使用するかは不明ですが、有事だけでなく大規模災害の救助活動においても迅速に医薬品などを輸送できるUAVや、少ない人数で負傷者を後送できるUGVの救命用途での活用も、検討すべきではないかと筆者は思います。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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