伝統的な航海術はもう不要なのか 帆船「日本丸」「海王丸」老朽化で岐路に 八方塞がりの今

日本がバブル期前後に建造した帆船「日本丸」と「海王丸」。この2船が船齢40年を迎えようとしています。大規模修繕をするのか、後継船を造るのか、予算も場所も人手もないなか、帆船の必要性そのものが論じられているようです。

国産帆船建造のノウハウは今どこに?

 2隻目「海王丸」は1989(平成元)年9月12日に竣工。「日本丸」竣工から5年が経過していたため、バーキールの大型化や、帆装艤装の性能向上、可変ピッチプロペラの装備とさまざまな点で改良が図られており、「日本丸」よりも良好な帆走性能を持っています。機関や航海計器なども当時としては最新のものを搭載しました。

 こうして次世代の船員を育成するために、造船技術を結集して建造された「日本丸」と「海王丸」ですが、日本ではこれ以降、大型帆船は建造されていません。小型帆船も住重浦賀工場で1993(平成5)年3月31日に竣工した「みらいへ」(230総トン)が最後となっています。

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横浜市内で保存・展示されている初代「日本丸」(深水千翔撮影)。

 先に建造された「日本丸」は老朽化が進んでいる上、全力での帆走に必要な乗組員と実習生を恒常的に確保するのも難しくなってきており、エンジンに負荷がかかり続けている状態です。初代「日本丸」も末期は遠洋航海の規模を縮小しており、同様の事態になる可能性が大いにあります。対策としては近年の環境規制に適合した最新鋭の主機への換装や救命設備の更新などを含めた大規模な改修、もしくは代替船の建造といった選択肢があげられますが、造船所と予算の問題が立ちはだかります。

 生まれ故郷である住重浦賀工場は艦艇専門ヤードとなった後、アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHIMU)横浜工場(現JMU横浜事業所磯子工場)への完全統合に伴って2003(平成15)年3月に閉鎖。住重グループで造船事業を手掛ける住友重機械マリンエンジニアリングは現在、建造船種についてアフラマックスタンカーをメインとした中型タンカーに絞っており、官公庁船の建造からは手を引いている状態です。そのため新たに帆船の建造や、大規模改修を行う可能性は限りなくゼロに近いといえます。

【外国海軍の帆船も】「日本丸」「海王丸」船内の様子ほか

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コメント

1件のコメント

  1. 船乗りの端くれとしては、日本丸・海王丸にはノスタルジーを感じるところ。

    ただそのノスタルジーだけで保有するのは確かに今の時代にそぐわないのも理解している。

    ただ、初任幹部として参加する練習航海では天文航法も地文航法もやるし、南米の海軍士官は帆船で遠洋航海をやるんだよね。

    シーマンシップの涵養という意味で帆船は重要な教材であると思う。

    少なくとも恒常的に要員を確保できる海上自衛隊や海上保安庁、防大や海上保安大学が保有して海上要員の育成に使うべきだと思う。ロープワークやシーマンシップは現代においても基本中の基本、いろはのいなのだから。

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