伝統的な航海術はもう不要なのか 帆船「日本丸」「海王丸」老朽化で岐路に 八方塞がりの今

日本がバブル期前後に建造した帆船「日本丸」と「海王丸」。この2船が船齢40年を迎えようとしています。大規模修繕をするのか、後継船を造るのか、予算も場所も人手もないなか、帆船の必要性そのものが論じられているようです。

帆船実習自体が時代にそぐわない?

 修繕はジャパンマリンユナイテッド(JMU)が、磯子工場で「日本丸」と「海王丸」の入渠を受け入れた実績があるため、帆船の構造に関するノウハウを蓄積していると考えられます。ただ、それが新造帆船の建造や大規模改修の施工へ結びつくかというと、難しいものがあるでしょう。

 ネックの一つになっているのがマストとヤード、索具などで構成されている帆装。これらは2隻にしかない特殊な設備であることから、新たに作る場合は技術力に加えて相当の費用が必要となります。鋼材価格の高騰でただでさえ新造船の船価が上がっていることに加え、甲板に敷き詰められているチーク材は海外からの輸入に頼っているため、記録的な円安が進んでいる状況では建造コストのさらなる上昇にもつながりかねません。

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JMU磯子工場で修繕中の「海王丸」(深水千翔撮影)。

 海技教育機構は独立行政法人に移行後、運営費交付金が漸減し、今後も厳しい状況が見込まれていると指摘されている上、世界的な原油価格の上昇に伴う燃料費の高騰にも直面しており、その影響は航海訓練にも出てきているとか。そのため、新造にしても改修にしてもコストがかかる帆船を手放す可能性は十分にあります。

 また、国際条約の改正や技術革新に適応した人材が求められる中、帆船実習自体が時代にそぐわないといった意見も出ており、実際、国交省の中期目標では「他効率的な業務運営のために帆船を汽船に更新することも含め、船隊規模について検討する」と明記されています。

 このように課題山積の練習帆船。日本では旧帝国海軍も海上自衛隊についても、軍事組織が大型の練習帆船を保有したことはありませんが、他国を見回してみると軍が帆船を運用している例が多々見受けられます。

【外国海軍の帆船も】「日本丸」「海王丸」船内の様子ほか

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コメント

1件のコメント

  1. 船乗りの端くれとしては、日本丸・海王丸にはノスタルジーを感じるところ。

    ただそのノスタルジーだけで保有するのは確かに今の時代にそぐわないのも理解している。

    ただ、初任幹部として参加する練習航海では天文航法も地文航法もやるし、南米の海軍士官は帆船で遠洋航海をやるんだよね。

    シーマンシップの涵養という意味で帆船は重要な教材であると思う。

    少なくとも恒常的に要員を確保できる海上自衛隊や海上保安庁、防大や海上保安大学が保有して海上要員の育成に使うべきだと思う。ロープワークやシーマンシップは現代においても基本中の基本、いろはのいなのだから。

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