名門ロッキード唯一のビジネスジェット「ジェットスター」に乗った! 露と消えた300機生産の皮算用

F-22「ラプター」やF-35「ライトニングII」といったステルス機からC-5「ギャラクシー」などの大型輸送機まで広く手掛ける航空機メーカーの名門ロッキード。同社が造った唯一のビジネスジェットは一体どんな機体だったのでしょうか。

300機調達の予定が20機弱にまで激減

 同機の一番の特徴は主翼でした。小型機としては珍しく角度30度の後退翼を採用、さらにスリッパータンクと呼ばれる燃料タンクを翼の途中に装備していました。加えて、主翼には前縁フラップとともに後縁にもダブルスロッテッドフラップを装備しており、これらによって機体サイズの割には強力な高揚力装置を備えていました。

 また尾翼も、垂直翼の半ばに水平翼が十字の形でクロスするように取り付けられていました。構造上、水平翼と垂直翼は一体となっていましたが、これには理由があります。

 航空機は、着陸時の引き起こしのように一時的に迎角を変えるときは昇降舵と呼ばれる動翼を動かして機体の姿勢を変化させますが、巡航中の仰角を微調整する時はトリムもしくはラダートリムと呼ばれる別のメカニズムを用いて調節しています。ジェット機の場合は水平尾翼全体の取付け角を微調整することでトリム機能を確保しています。

 一方、水平尾翼が垂直尾翼に固定されているジェットスターの場合、尾翼全体の取付け角を細かく変化させることでトリム機能を得ています。この機能のため、尾翼の付け根部には無塗装部分がありそこが可動部分であることが判ります。

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1986年5月18日、アメリカ北西部ワシントン州のフェアチャイルド空軍基地で撮影したC-140A飛行点検機(細谷泰正撮影)。

 1959(昭和34)年、アメリカ空軍は本機をC-140として採用することを決定し、量産が始まります。ただ、量産型ではイギリス製の「オーフェース」エンジンではなく、自国プラットアンドホイットニー(P&W)製JT12(軍用型式J60)エンジンに換装され、その数も双発(2基)から片側2基ずつ計四発に変更されます。これにより、このサイズの小型機としては異例の4発ジェットエンジン機となりました。

 ただ、当初300機程度の調達を計画していたアメリカ空軍は、実際には飛行点検機としてC-140Aを5機、要人輸送機としてVC-140Bを11機採用するに留まりました。とはいえアメリカ空軍が採用したことによる影響か、自国以外の8か国にも政府要人輸送機として採用されたほか、民間機としても用いられています。なお、ロッキード「ジェットスター」の民間仕様の場合、パイロット2名のほかに、客室には標準8人、最大10人を乗せることができました。

【今や貴重な機内の様子も】迷彩のC-140「ジェットスター」を外から中から

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