名門ロッキード唯一のビジネスジェット「ジェットスター」に乗った! 露と消えた300機生産の皮算用

F-22「ラプター」やF-35「ライトニングII」といったステルス機からC-5「ギャラクシー」などの大型輸送機まで広く手掛ける航空機メーカーの名門ロッキード。同社が造った唯一のビジネスジェットは一体どんな機体だったのでしょうか。

発展型「ジェットスターII」や「ファンスター」の登場

 登場時は高性能を誇った「ジェットスター」でしたが、エンジン技術の進歩により1970年代に入ると燃費の悪さ、騒音の大きさの両面で陳腐化していきます。そこで、再びエンジンの換装が計画され、既存のJT12ターボジェットエンジンをギャレット(現ハネウェル)製TFE731ターボファンエンジンに換装した「ジェットスターII」が開発され、以後はこちらの販売に切り替えられました。

 一方、既存の「ジェットスターI」から「ジェットスターII」へ改造された機体も存在します。さらに4基のJT12エンジンを、新型のジェネラル・エレクトリック製CF34ターボファンエンジン2基に換装した機体も作られ、こちらは「ファンスター」と命名されました。「ファンスター」は1986(昭和61)年に飛行試験が行われましたが、その改造の事業化を目指していた企業が法的問題を起こしたことで、結局開発は立ち消えとなり、量産には至りませんでした。

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1986年5月18日、アメリカ北西部ワシントン州のフェアチャイルド空軍基地で撮影したC-140A飛行点検機(細谷泰正撮影)。

 アメリカ空軍のC-140「ジェットスター」は1961(昭和36)年から翌1962(昭和37)年にかけて就役し、1990年代初頭まで運用されています。前出のようにC-140は要人輸送や連絡、訓練など、いわば雑務に多用されていたため脇役的な存在であり、航空ショーなどで展示されることは稀でしたが、地上展示されたときには機内も公開されていました。

 振り返ってみると、航空機の名門ロッキードが造った「ジェットスター」は機体の各所に巧みな工夫が盛り込まれており、プライベートジェットのパイオニアとしての貫禄を十分持っていました。

 しかし、初期のジェット機特有の騒音や燃費の悪さに加え、真っ黒な排気はプライベートジェットとしてスマートさに欠けてしまうことは否めません。1980年代に模索されていた高バイパスのターボファン・エンジンへの換装が実現していたならば、後発のカナディア「チャレンジャー」やガルフストリームなどとも十分に競争できる高級プライベートジェットに昇華したのではと、想像しています。

【了】

【今や貴重な機内の様子も】迷彩のC-140「ジェットスター」を外から中から

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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