「アウトドア風味の軽」なぜ続々? “なんちゃってSUV”を地でいく 軽のしたたか戦略
軽自動車、しかも生活の実用性を高めたスーパーハイトワゴンに、「アウトドア風」デザインのモデルが相次ぎ登場しています。タフな見た目ではあるものの、SUVのような走行性能は望めません。その狙いは、全く別のところにあります。
スーパーハイトワゴンにSUV風味
2022年10月に新登場したダイハツ「タント ファンクロス」や、好評のスズキ「スペーシア ギア」など、SUVのようなデザイン要素をまとったアウトドア風スタイルの軽ワゴンが注目されています。
ダイハツは、両側スライドドアを備えるスーパーハイト系のタントに、こうしたアウトドア風スタイルを追加した理由として、「広がるアウトドア志向のお客様ニーズにお応えするため」と説明。キャンプや車中泊といったアウトドアレジャーの人気は一部のマニアのみならず、ファミリーやおひとり様にも浸透しつつあり、愛車を選ぶ際にもアクティブ感やタフさを感じさせるデザインや、荷物の積みやすさ、掃除のしやすさなどの機能性を求めるユーザーが増えている背景があるようです。
ただ、軽自動車でアウトドアレジャーのニーズに応えるモデルとして、以前からスズキには「ハスラー」、ダイハツには「タフト」という軽クロスオーバーSUVがあります。そちらは、本格的なクロカン4WDとなる「ジムニー」ほどの悪路走破性は持たないものの、ちょっとしたラフロードや雪道くらいなら、頼もしく走れる最低地上高や対障害物角度を確保しており、“遊べる軽”というキャッチフレーズと、アウトドアブームの盛り上がりとともに大ヒットとなりました。実際に、釣りやスキー&スノボ、マリンスポーツを趣味とする人たちにも支持されているといいます。
しかしスーパーハイト系のボディにアウトドア風スタイルをまとった軽自動車には、クロスオーバーSUVのようなタフな走行性能は期待できません。いわば“なんちゃって”SUVと言われても仕方のないキャラクターを、専用パーツを開発してまで本気でデザインするというところに、日本を代表する2大軽自動車メーカーの凄さ、したたかな戦略を感じるのです。
というのは、やはり軽自動車の基本的な役割は、老若男女の日常の移動を便利にし、安心して走れるようにすることにある、という考え方がベースに存在すると感じるからです。
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