車のインパネ「ボタンだらけ」は悪なのか “ツルツル化”が進行 増えた機能と操作性どう両立

ボタン増やしたい! その「場所」は…

 そこで苦肉の策として、メルセデス・ベンツは2020年に、ステアリングのスポークを3本から2本増やした新世代ステアリングを「Eクラス」に導入します。スポークが増えただけボタンが配置しやすくなるというわけです。

 レクサスの新型「NX」では、ヘッドアップディスプレイでステアリングスイッチの操作方法を案内する「タッチトレーサーオペレーション」という機能が用意されています。手元を見なくても、いまどのスイッチに触っているかが案内され、操作を間違えることなく行えるようになります。

 近年に登場した新型車のインパネを見ていると、タッチ式と物理スイッチを使い分けるのがトレンドになっているようです。ディスプレイは大型化する一方ですが、すべてをディスプレイでのタッチスイッチにするのではなく、必要なものは物理的なスイッチを残すという方向です。

 たとえば、ステアリングには、オーディオとモニター表示、電話、そしてACCの設定のための物理スイッチを残します。

 センターディスプレイは大型化しますが、電源のオン/オフと音量調整のスイッチは残します。また、エアコンのスイッチも温度調整は物理スイッチとし、風向きなどはタッチ式に。ハザードのスイッチも物理です。

 それ以外の、ナビの操作、クルマの諸機能の調整、クルマの情報表示、エンタメ系はセンターディスプレイなどのタッチセンサーとします。

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ヒョンデのネッソ。あえてボタンだらけ(画像:ヒョンデ)。

 ツルツル感が強い新型「セレナ」や、先進感の強い新型「プリウス」や日産「アリア」も、よくよく見れば、オーディオの電源スイッチが物理スイッチとして残っています。「アリア」はエアコンがすべてタッチ式になっていますが、「プリウス」と「セレナ」はエアコンの操作用物理スイッチが存在します。さらに日産「サクラ」は、ナビ用の物理スイッチも残っていますが、デザイン的にまっ黒にして目立たないようになっています。

 思えばスマートフォンも、スイッチをすべてなくしたわけではありません。小さくなっているものの、ボリュームとメインスイッチは残っているのです。同様にクルマも、タッチセンサー化を進めつつも、大事なスイッチは物理で残す、そんな方向性に進むのではないでしょうか。

【了】

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Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。

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