日本版「緑の悪魔」に? 北欧製に決定した次期装輪装甲車 日本の産業救う可能性も
陸上自衛隊が導入する次期装輪装甲車が、フィンランドのパトリア社が製造する「AMV XP」に決定しました。海外では高いブランド力を持つ同社の戦闘車両は、輸入するだけにとどまらず、日本の防衛産業を蘇らせる可能性もあります。
次期装輪装甲車に決定 北欧「パトリア」のAMV XPとは
2022年12月9日、防衛省は陸上自衛隊が現用の96式装輪装甲車の後継として2023(令和5)年度から導入を計画している次期装輪装甲車に、フィンランドの総合防衛企業パトリアが開発した「AMV」を選定したと発表しました。なお、防衛省はAMVとしていますが、実際に提案されたのはAMVの発展改良型であるAMV XPのため、本稿ではAMV XPと表記します。
装輪装甲車(改)の開発中止(2018年)を受けて導入計画がスタートした次期装輪装甲車は、実際に試験用の車両を購入して評価試験を行い、メーカーと代理店からの提案と合わせて車種を選定するという、これまでにあまり例のない手法が採用されています。
選定は二段階に分けて行われており、第一段階は機能・性能、後方支援に関する必須事項を評価し、一つでも必須事項を充足していなければ選外とする方式を採用していました。ここでAMV XPと、三菱重工業が提案した機動装甲車(試作車)のいずれも必須事項を充足していたと防衛省は発表しています。
第二段階では「基本性能」に加えて整備や部品供給、国内防衛産業の関与などの「後方支援・生産基盤」、調達費と運用期間中のランニングコストなどの「経費」の3項目を評価して各項目ごとに100点満点で加点。防衛省は、基本性能と経費の両項目でAMVが機動装甲車を上回ったことから、AMV XPの採用に至ったと説明しています。
この「基本性能」の評価において、AMV XPの評価点は機動装甲車のそれを大きく上回っていたと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は聞き及んでいます。
筆者は機動装甲車の実物を見たことはないのですが、その原型であるMAV(Mitsubishi Armored Vehicle)は世界標準に達していると感じましたし、これまで日本が開発した装輪装甲車の中では最良のものだとも思っていました。このため基本性能の評価で大きな差がついたという話を聞いた時は正直驚きました。
防衛省と陸上自衛隊がどのように提案を評価し、また陸上自衛隊がどのような試験を行ったのかはわかりませんが、防御力と乗員の生存性に対する評価がその差を生んだのではないかと筆者は推測しています。
1行目「〜後継として2022(令和5)年度から〜」とありますが、2022年=令和4年です。
いつも楽しみに拝読しておりますが、このようなミスが最近多いように感じます。僭越ながらチェック体制の強化をお願いいたします。
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。
16式機動戦闘車のバリエーションではなく、AMVを新規に採用したのは、組織する能力がなく、兵站を軽んじているからだ。
AMVには、120mm戦車砲を搭載することもできる。
AMVを採用するなら、16式機動戦闘車の調達は終了すべきだ。