実現間近!「水素エンジン船」 脱炭素対応の“本丸” 日本と世界の現状
他社も続々 水素エンジン開発進む 発電用/推進用に大・中・小…
川崎重工による水素焚き二元燃料エンジンは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業」の一環として開発が進められているものです。今回は発電用途でのAiP取得でしたが、同社は推進用エンジンの開発を目指しています。
NEDOの同事業では、さまざまな用途に対応可能な舶用水素エンジンのラインアップを2026年頃に完成させることを目標に掲げ、複数社が開発に同時並行で取り組んでいます。川崎重工が推進用の中速4ストロークエンジン、ヤンマーパワーテクノロジーが補機用の中・高速4ストロークエンジン、そしてジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)が大型船向けの低速2ストロークエンジンを開発しています。
川崎重工はこれに加えて、舶用水素燃料タンク・燃料供給システムの開発も担当しており、各社と共同で水素燃料推進システムの実現を目指しています。陸上試験を経て実証運航に適用し、機能と信頼性を確認した上で、社会実装につなげていくとのことです。
ただ、こうした水素燃料船は、韓国や欧州勢も開発に着手しており、世界的には競争が激化しています。すでに水素燃料電池や水素混焼エンジンを搭載した船舶も出てきました。
日本では、ツネイシクラフト&ファシリティーズが2021年7月に建造した世界初の水素燃料旅客船「ハイドロびんご」(19総トン)は、水素と軽油の混焼エンジンを2機搭載しています。同船は可搬式の水素貯蔵タンクを装備しており、軽油と別のラインを通じてエンジンへ水素を供給して混焼する仕様となっています。このため岸壁に水素充填の設備を置く必要がなく、水素を供給が容易という特長を持っています。
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