やっぱF-35導入します! 翻意のドイツ空軍に予算承認 ロシアへ強烈な牽制&日本にも利点

ドイツ国防戦略では核攻撃も担当

 また、「トーネード」の後継機導入では、この機体が現在担っている核攻撃任務の引き継ぎも課題となっていました。NATO(北大西洋条約機構)に加盟しているドイツは、核共有(ニュークリア・シェアリング)によって国内にアメリカの核兵器が配備されています。安全保障上の非常事態においてはドイツ空軍の戦闘機はそれらを使用することが定められており、「トーネード」攻撃機はドイツ空軍機の中で唯一、その役割が与えられていたのです。

 当然、後継となる新型機にも同様の能力が求められるため、選択肢としては核兵器搭載できる(もしくは改修が可能)なアメリカ製戦闘機を選ぶか、別の機体を選定するなら、その場合は新しく核兵器運用能力を付与する必要がありました。

 だからこそ、当初は核兵器の運用能力を有するアメリカ製の空母艦載機、F/A-18E/F「スーパーホーネット」が候補となったといえますが、前述したような状況から最終的には、より高性能なステルス機のF-35Aが選ばれたといえるでしょう。

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ドイツ空軍に配備される予定のF-35A「ライトニングII」戦闘機(画像:ロッキード・マーチン)

 F-35Aは第5世代戦闘機として非常に優秀な戦闘機ですが、メリットはそれだけではありません。この機体はすでにヨーロッパ地域ではイギリスやイタリアなど9か国で配備もしくは導入が予定されています。NATOを基軸とする多国間での安全保障政策が基本となるヨーロッパでは、同じ装備品を使うことは共同任務などの運用面はもちろんのこと、ノウハウの共有など様々な利点もあります。

 同様のメリットは日本の航空自衛隊にもいえ、2022年9月にドイツ空軍のユーロファイター戦闘機が茨城県の百里基地に初飛来した際には、派遣部隊の指揮を執ったドイツ空軍総監ゲルハルツ中将が会見において「我が国よりも先にF-35を導入して運用している航空自衛隊の知見が学べると考えています」といった趣旨の発言をしています。

 今回のドイツ空軍のF-35Aの導入は、空軍としての戦力向上だけでなく、国際間の防衛協力にも影響を与える大きな出来事だといえるでしょう。

【了】

【写真】F-35A導入で置き換え予定の「トーネード」戦闘機ほか

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Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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コメント

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2件のコメント

  1. F/A-18E/F ではニュークリア・シェアリングができないからね
    しょうがないね

    • ニュークリアシェアリングのために当初F/A-18Fを選定したんだが?
      乗りものニュースは間違いばっかりだからあんまり信じちゃいけないよ