海の「プラグインハイブリッド」 働き方改革な電動貨物船“普及型”が進水 クルマっぽい装備
ほとんどクルマ? PHEV、ドラレコ、ナビ…
さらに新造船は、電力会社との提携・共同開発により、災害時に船から陸への給電が可能な電力供給船機能も持ちます。自動車でいう「プラグインハイブリッド」のようなものです。
自然災害などにより陸上送電設備がダウンし、沿岸部の広範囲に給電ができない場合、船に搭載された発電機から陸上に電力供給を行います。陸上の道路や送電インフラが寸断されても、海上から被災地付近の港へ急行することで、消防・病院・避難所といった拠点となる施設に向けて大容量電力を確保できます。
また、乗組員の業務を支援するシステムとして、e5ラボが立ち上げたスタートアップのMarindowsが開発している「内航標準プラットフォーム」も搭載します。
船陸間の通信を常時接続できるようにし、航行する船舶の遠隔モニタリングや予兆検知、CBM(状態基準保全)などを実現するとともに、同社が端末を通じて、徹底した労務軽減と安全運航の向上を目指すとのこと。加えて、海難事故が発生した場合に備えてネットワーク型ドライブレコーダーや、陸上と船上の双方から船舶の位置と状態が把握できるネットワーク型ポータブルナビの装備も予定しています。
末次CTOは「工業製品としてシステムをモジュール化し、数を作ればコストを下げられる。ハイブリッドEV貨物船の建造・運航で得られた経験を共有し、標準船型のさらなるブラッシュアップを進め、日本の造船産業を盛り上げるためにもハイブリッドの電気船を内航だけでなく輸出向けも大量に建造できるようにしたい」と今後の展望を話していました。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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