海賊対処の海自護衛艦に海上保安官が同乗しているのはなぜ? 似て非なる両者の役割

海上保安庁と海上自衛隊の違いとは?

 ところで、このように自衛隊と海上保安庁が連携する形で活動している姿を見ると、両者の違いは一体どこにあるのかと疑問に思わないでしょうか。簡単に言うと、それは「警察」か「軍事組織(軍隊)」かの違いということになります。

「警察」は、国内の秩序維持のほか、広く国家の安全、法、秩序を維持または回復することを任務としています。一方で「軍事組織(軍隊)」は、主に外国が自国に対して侵攻してきた場合にこれを撃退することを任務としています。

 これをもとに、自衛隊と海上保安庁の組織の位置付けを見てみましょう。

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海賊対処派遣中に、周囲の警戒にあたる海自護衛艦「すずつき」隊員(画像:統合幕僚監部)。

 まず自衛隊に関しては、自衛隊法第3条に明記されているように、日本の平和と独立を守ることを主たる任務とし、必要に応じて公共の秩序の維持にあたるものとされています。つまり基本的には、日本へ攻め込んできた他国の軍隊を撃退するための組織で、これに加えて、警察や海上保安庁などが対処できない事態が発生した場合に、これを補完するため公共の秩序の維持に当たるというわけです。ソマリア沖における海賊対処活動は、まさにこの「補完」の好例です。

【画像】大忙し! 海保が対処する日本周辺海域の重大事案まとめマップ

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