歴史に幕「ジャンボ機」知られざるもう一つの功績 国内空港の「現在」を作った張本人?

空港設備にも及ぼした「747の影響」

 747の功績は滑走路だけではなく、空港施設にも及びます。

 現在、ある程度の便数をもつ国内空港では、大きなターミナルビル、そして、ビルと機体を直結する搭乗橋が備わっていることが一般的です。しかし747がデビューしてしばらくのあいだは、旧種別における第一種空港でさえ、搭乗橋がないところもありました。747の先代に就航していた旅客機と比べて倍近い乗客がタラップ(階段付きの車両)で乗り降りし、ターミナルまでの連絡バスを使用する必要があったのです。

 747の国内線仕様機だと、乗客数は500人にもなります。これをバスで都度輸送していては、時間・手間ともに大きな負担が予想されます。そうした背景もあって、747の投入にともなうように、多くの国内空港でのターミナルビルが拡張されました。現在多くの国内空港が立派なターミナルを持つのは、747の就航が一因であるといえるでしょう。

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ANAのボーイング747SR。通称「スーパージャンボ」として国内線へ就航した(画像:ANA)。

 また、国内線旅客機の話からは外れますが、旅客ターミナルはもちろんのこと、747は、国内空港の航空貨物エリアにも大きな影響を及ぼしました。

 747はその巨大さゆえ、従来機と比べ1機あたりで圧倒的な貨物の取扱量を誇りました。そして、航空貨物の発展に革命を起こしたのが、ULDと呼ばれる航空貨物用コンテナ。この747が初めてULDを搭載して商用飛行した飛行機です。それまでバラ積みで貨物を積み込んでいたのを、空港内の搭載場でULDへまとめて、機体の下まで車両で移動させて積み込む方式は、ここから確立されました。

 ただ747のデビューで航空貨物の取扱量が増えたものの、特に国際線においては、貨物を日本国内に輸送した後に検疫が必要で、そのためには広大なスペースを要します。そのこともあって、大都市圏では「空港の新設」の一因にもつながったといえるでしょう。

【写真】今見ると規格外… ANA「国内線用ジャンボ」のシートマップ

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コメント

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1件のコメント

  1. 「航空整備法」ではなくて「空港整備法」では?