恋ヶ窪駅の「恋」とは? 実はホントの“LOVE駅” マイナスイメージも打ち破った恋の力
平安末期の、遊女の悲恋物語
では駅名の由来は何でしょうか。
元となった恋ヶ窪という地名は、平安時代末期頃に鎌倉街道の宿駅があり、遊女などもいたために起こったとされています。同宿に夙妻太夫(あさづまたゆう)という遊女がいて、源頼朝に仕える畠山重忠と恋仲になりました。
重忠は武勇、教養ともに備え清廉潔白な人柄でもあり、坂東武者の鑑といわれた武将です。2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、重忠役を中川大志が演じています。そのことから分かるとおり、見映えのいい武者としてもっぱらの評判でもありました。
ところが夙妻大夫に熱をあげるもう1人の男がいて、その男が夙妻大夫に「重忠は西国の平氏との戦で討ち死にした」と嘘をついたことで、悲嘆にくれた夙妻大夫は、近くの池に身を投げ亡くなってしまいます。その池は、現在のJR中央線の西国分寺駅すぐ近くの「姿見の池」一帯に広がっていたとされます。恋ヶ窪という地名の由来には、こうした悲恋物語があるわけです。
前述の恋山形駅は、1994(平成6)年の開業時に「来い山形」という意味を含めた命名、恋し浜駅は2009(平成21)年に小石浜駅からの名称変更、母恋駅はアイヌ語の発音を元にした当て字といったことを考えると、恋ヶ窪駅はまさに、「恋」駅の正統派といえるでしょう。
もうひとつ紹介すべきは、地形と駅名との関係を考えた際、恋ヶ窪駅が例外中の例外、「恋」の力を強く示している点です。
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