今こそ欲しい?「幕張新都心への鉄道」計画が頓挫したワケ “千葉から行きづらい”解消の見込みは
ウヤムヤになった計画、結局落ち着いた「アクセス交通」は
実現の目途が立たないモノレール延伸構想から、重要性の高い京葉線海浜幕張~総武線方面間を切り離した検討も始まります。2000(平成12)年の運輸政策審議会答申第18号では「幕張新都心地区へのアクセス利便性、幕張新都心の都市機能向上が期待できる」として「幕張地区の新交通システムの新設」を掲げています。具体的には次世代路面電車(LRT)や新交通システム(AGT)の導入を検討したようです。
ちなみに、この答申では各計画を「目標年次(2015年)までに開業することが適当」な「A1路線」から「整備着手することが適当」な「A2路線」、そして「今後整備について検討すべき」とされた「B路線」まで3段階に分類しましたが、「幕張地区の新交通システム」は最も重要性の低い「B路線」の扱いでした。
千葉市はいつまでたっても進まないモノレール、新交通システム、LRTの議論を待つのではなく、実際の旅客需要に対応可能な現実的な交通網の構築に着手します。首都圏から幕張新都心の訪問は幕張本郷駅からのアクセスが想定以上に多かったため、1998(平成10)年に一般路線バスとして全国で初めて連節バスを導入。その後も連節バスの増備、ICカードやバスロケーションシステムの導入など、「BRT化」を意識した輸送改善を進めてきました。
現在、バスが担う輸送量はラッシュ1時間あたり3000人以上で、朝8時台はほぼ1分に1本の頻度で運行しています。確かにこの輸送量は連節バスで対応可能な上限に近く、LRT導入が検討されてもおかしくない数字ですが、新交通システムやモノレールを整備するには物足りません。結局、連節バスを総動員する現在のスタイルが現実的と言えるでしょう。
結局、答申第18号の後継計画となる2016(平成28)年の交通政策審議会答申第198号では当計画は削除されており、「新交通システム」によるアクセス輸送については検討が頓挫したことがうかがえます。
【了】
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
タイトルは『幕張新交通』ですが、文脈から察するに『新都心』が正解では?
路線バス置き換えの積もりで路線を決めたらしいな。お役所らしい間違いだ。結局みんなモノレールより安いバスに乗ってる。
外から人を呼び込まなければ街は発展しない。本郷と海幕を先に結ぶべきだった。イベントなんて半年以上前に会場を決めるから天候なんてわからない。ところが海幕は風で止まる電車一本しかない。予備として総武線が使えるならメッセの稼働率にも寄与する。今からでも建設の意義はある。