直通運転すべて寸止め? 「新木場駅」どうしてこうなった 3社乗り入れ「湾岸の拠点駅」構想

3つの鉄道路線が接続しながら、互いに直通運転を行っていない、東京都江東区の新木場駅。しかしその駅構造は、鉄道ネットワークを形成する可能性を持って作られています。かつてどんな計画があり、将来的にどうなるのでしょうか。

見た目はひとつの鉄道会社の拠点駅

 JR京葉線、東京臨海高速鉄道りんかい線、東京メトロ有楽町線の3路線が乗り入れる新木場駅。3路線すべて高架駅ですが、構造は複雑です。京葉線ホームが3階、りんかい線ホームと有楽町線ホームが2階という二層構造で、このうち京葉線とりんかい線の線路は、蘇我方面で繋がっています。有楽町線ホームはりんかい線ホームと隣り合わせですが、線路はつながっておらず、そのまま駅の南東に設けられた車両基地まで向かっています。

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新木場駅(画像:写真AC)。

 このように3社が乗り入れる新木場駅ですが、それぞれ直通運転はしていません。なぜこんな形になり、そして将来的にどうなっていくのでしょうか。

新木場駅が現在の形になるまで

 有楽町線は1972(昭和47)年の都市交通審議会答申第15号に基づき、新富町から湾岸方面への延伸が具体化し、1979(昭和54)年10月に免許申請。1981(昭和56)年に工事施行認可を得て翌年に着工しました。

『有楽町線建設史』によると、湾岸エリアの開発を促進したい東京都港湾局が、車両基地用地の提供を見返りとして、営団に新木場延伸を求めたようです。当初、新木場で有楽町線と京葉線が直通運転する構想もありましたが、国鉄は独自の都心乗り入れを選択したため、有楽町線は新木場終点として整備されることとなりました。

 京葉線は1960年代に「貨物専用線」として計画されましたが、1970年代以降は旅客線として整備することになり、1983(昭和58)年に東京駅乗り入れが決定。すぐ工事に着手します。

 営団と国鉄は新木場駅の工事を同時に進めました。1988(昭和63)年6月8日に有楽町線が、半年後の12月1日に京葉線が新木場まで開通。乗り換え利便性を考慮してふたつの新木場駅は隣り合わせの位置関係で開業しました。

 対して、りんかい線は、それらよりずっと後に開業しています。にもかかわらず、京葉線と二層構造で、さらに有楽町線の真隣にあるという「ちょうどいい位置」に収まっている――これにも理由があります。

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