開発中止の MSJ、残存機はどうなる? 挑戦は“なかったこと”にされるのか 試される三菱の度量

実用化することなく開発が終了となった国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」。今後「残った実機を展示するどうするか」が注目されます。そしてここは、三菱重工の“度量”が問われるポイントです。

「MSJ」の実機展示、日本航空業界の発展には必要?

 戦後初の国産旅客機となったYS-11は、海外の航空会社への販売実績もありましたが、商業的に赤字で終わりました。当時は「飛行機は造れるけど旅客機は造れない」と揶揄されもしました。しかし、開発に参加した設計士や操縦士、営業活動に汗を流したセールス担当、ユーザーの立場で参加した航空会社の社員などが多くの回顧を残し、それが教訓となっていました。

 MSJについては、開発がうまくいかなかったのはマネージメント力や日本人・外国人開発陣の連携不足、グローバル・スタンダードとなっている米国FAAの型式証明(そのモデルが一定の安全基準を満たしているかどうかを国ごとに審査する制度)を取る難しさなどが指摘されています。

 しかし、直に開発に携わった人々による、悔しさや反省を吐露する声はYS-11ほど多くはありません。また一時期は累計の受注が400機以上と、YS-11の生産数182機を超すなど、YS-11よりも良いスタートを切りながら、実際は航空会社が使う機体は1機もなく終わります。このことも、「失敗の教訓」を語る機会を今後より少なくする要因となるでしょう。

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2020年の小牧空港「スペースジェット」格納庫の様子。

 開発中止にこそなりましたが、MSJはYS-11以来の挑戦だったのは確かです。その挑戦の軌跡より鮮明に残すには、実機に敵うものはありません。公開展示をMSJ実機の“新たな役割”とするのです。なお、MSJの最終組立工場内には、2017年にミュージアムが開館し、実機の製造作業を見学でき、胴体などの実物大模型も展示されていましたが、現在は臨時休館中です。

 MSJの公開展示は、三菱重工にとっては大変気の重い話でしょう。しかし、「失敗の教訓」を正直に見せることは、長い目で見れば企業としての“度量”を示すことになります。

 一方、三菱重工は、過去に同じように教訓として実機を残しています。国内開発したものの、商業的に失敗したMH2000ヘリコプターです。現在この実機は、あいち航空ミュージアムで展示されています。

 官民挙げてのプロジェクトであったMSJは、経済産業省から500億円の支援を得ています。公費を使った結果を国民へ公開すると考え合わせれば、国内に残った機体の展示は必要と、筆者は考えています。

【了】

【写真】「MSJ」の先輩「YS-11」はびっくりの場所に展示中

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コメント

5件のコメント

  1. 1回でメゲてやめちゃうなら意気地なし。

    失敗した場合の選択肢を考えてなかったかね。

    ダッソーはメルキュールで負けたけど、ファルコンで取り返したぞ。記念展示なんかより、失敗の経験を次に活かせ。

    F-35のライセンス生産の仕事がなくなった埋め合わせだったんだろうけど、F-3の仕事があるならもうやらないってか。

  2. 広告が多すぎる

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    • トヨタのEVといい、もう日本のものづくりは駄目でしょうな。こうゆうことがあると益々投資リスクの少ないソフトに人が流れる。それこそ世界じゃ戦えないのに。IT社長なんて国内消費に頼ってるだけ。ものづくりのノウハウは失われていき、一度失うと航空産業のようにもう追いつけない。

  3. 行政の調整不足が大きい

    ホンダはアメリカ製としたことで型式認定が取れたが、MSJは日本製としたため国土交通相の経験不足で型式認定が出来なかった。

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