米艦「ズムウォルト」第2形態へ! 艦載砲をかなぐり捨て載せるは陸軍との共通装備…!?

ズムウォルト級に極超音速ミサイルを装備するメリットとは

 CPSをズムウォルト級に装備するメリットとして、どのようなことが考えられるでしょうか。

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2021年、アメリカ陸軍に納入されたLRHWのプロトタイプ(画像:アメリカ陸軍)。

 ひとつは、艦艇であるため移動が比較的自由であるという点です。アメリカ陸軍のLRHWは、ミサイルを収めた箱(キャニスター)を大型トラックで引っ張って移動する必要があるため、平坦な地形で、かつある程度、道路が整備されている場所にしか配備することができません。一方ズムウォルト級は、海さえつながっていればどこへでも移動して、そこからミサイルを発射することができるため、陸と海という違いはあれど運用に関する自由度は比較的、高いといえるでしょう。

 もうひとつは、ズムウォルト級は高いステルス性を有しているため、敵から発見されにくいという点です。敵にしてみれば、ただでさえ発見しづらいステルス艦が移動しつつミサイルを発射してくるわけです。発射元を断とうにもその発見が困難であろうことは想像に易く、つまり厄介この上ない存在、というわけです。

 アメリカ海軍は、2025年から1番艦「ズムウォルト」での極超音速ミサイル発射試験を実施するとしています。その見据える先には、台湾を念頭に対立関係が続く中国への対応があります。厳重に防護された中国軍の軍事施設を破壊する手段として、CPSはまさにうってつけといえます。

【了】

【ポリゴン粗め?】「CGじゃないの?」と当時話題になった「ズムウォルト」の1枚

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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