歩兵にやられまくり? ロシア戦車はどう撃破されているのか 戦術の稚拙さ浮彫りに

対戦車地雷と対戦車火器をセットで使うのが定石

 なお、熟練の歩兵は、あらかじめ戦車が通りそうな道路脇の森林地帯や錯雑地の中で、息を潜めて戦車が来るのをひたすら待ちます。そこに敵の戦車が現れた場合、まず先頭を走る戦車は無視して、2両目や3両目の戦車に向けて対戦車火器を撃ち込みます。

 これは不意を突くというほかに車列を分断するなどといった意味もあります。すると、後続の車両は速度を落とすか、その場で停止するので、その隙に2発目、3発目を次々発射します。なお、当然ながら先頭車両は無傷なため、こちらにも対戦車火器を撃つ必要があるでしょう。こうすると、うまくいけば歩兵であっても効果的に敵の戦車部隊を沈黙させることができます。

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地中に埋められた対戦車地雷(写真中央)。うまく隠された対戦車地雷は探し出すのが困難だ(武若雅哉撮影)。

 ただ、その一方で歩兵側からすると、このような戦闘は非常にリスキーな面もあります。なぜなら、相手は装甲によって守られていますが、歩兵はヘルメットと防弾チョッキを着用する程度で、防御力に関してはほぼありません。また、こうした攻撃を行うのは少数の精鋭たちであるため、戦車部隊に追従する敵の歩兵部隊が攻撃してくると、圧倒的に不利な状況に陥ります。

 そこで、対戦車火器とともに組み合わせて使われるのが対戦車地雷です。

 対戦車地雷は、1個でも戦車を動けなくさせることができる兵器として世界中で使われていて、ウクライナでも多用されています。SNSなどで出回っている映像を見ると、まず対戦車地雷を踏ませてロシア戦車の動きを遅くさせてから、対戦車火器を撃ち込むという戦い方をしているのが確認できました。これは非常に理にかなった手法で、誘導装置がない対戦車火器を確実に戦車に命中させるには、相手の速度を遅くさせるのが一番だからです。

【vs戦車の戦法いろいろ】対戦車火器の射撃シーンをイッキ見

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コメント

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2件のコメント

  1. (3ページ目写真の下) 〜ロシア軍の場合はこうした梅雨払いとなる歩兵や〜
    「露払い」だと思いますが…。

    • ご指摘ありがとうございます。
      記事を修正しております。