「え、免許要るの?」じゃ済まない“モペット” 見た目チャリな電動バイク 異例の体験乗車会で警視庁が訴えたこと
利用者の理解求める、声かけ時の協力を
参加者を先導して走った白バイ警察官は、「どれでも同じだが、乗り始めは怖い。特徴がわからないので、理解しながら運転を。これはとっさの時、安全によけられるための練習です」と、説明しました。
二輪車の中でも、わざわざモペットに絞った講習を行った背景には、新しい乗り物に対する理解が追い付いていない実態があります。高輪署交通課長は、こう警告しました。
「日に日に走行実態が多くなり、利用者が増加していることを感じています。その中には、免許が必要ということを知らなかったという人がいますが、取締り、指導を行い、適正に対処していきます」
高輪署管内でモペットによる違反は、2021年は0件でしたが、2022年は1件。この1件が、免許の必要性を認識していなかった無免許運転でした。新しい乗り物に対する関心は高く、電動キックボードの違反も、2021年から2022年にかけて、0件から41件に増えています。
ペダル付き二輪車が、バイクなのか、アシスト自転車なのか。一見して判断するのが難しいことも、利用者を混乱させる一因です。一定以上のアシスト力が得られる二輪車は、バイクのようにスロットル(アクセル)がついていなくても自転車として認められていません。
さらに、7月から施行される改正道路交通法の中では、原付バイクでありながら、無免許で運転できる「特定小型原付」も登場。それに該当する商品に対し、認証を与えて識別しやすくする制度も用意されますが、施行当初はさらに混乱が予想されます。
高輪署は、利用者への協力を求めています。
「見た目ではわからないので、指導・取締りでは、どうしても声をかけるしかない。(停止を求めるのは)違反取締りだけでなく、注意喚起もあるので理解をいただきたい」
2023年は、このほかにもすべての自転車利用者がヘルメット着用を努力義務とする道路交通法改正が4月からスタート。パーソナルモビリティの交通ルールが大きく変わる節目の年です。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
すべての自転車利用者がヘルメット着用を努力義務とする
何が変わるの?