トイレやキッチンまで敵地へ投下! アメリカ傑作攻撃機A-1「スカイレイダー」初飛行-1945.3.18
トイレ落としたことないって言ったから……。
運用開始は大戦直後の1946(昭和21)年からで、ちょうど実用的なジェット軍用機が登場し始めたのと時期的に重なったものの、同機の搭載量の高さは群を抜いました。朝鮮戦争勃発後は、対地攻撃で味方の地上軍を支援したほか、空母プリンストンに搭載のA-1飛行隊は、航空魚雷で北朝鮮国内のダムを攻撃・破壊するという戦果を挙げています。
アメリカ海兵隊も近接航空支援用で同機を運用していましたが、朝鮮戦争中には大容量でなんでも運んでしまう同機を揶揄し、「キッチン以外に運べない物はない」と評したほど。しかし、その表現を覆すべく後日なんと本当に流し台を翼下に搭載し投下。キッチンを運べることを証明してしまいました。
さらに時代は進み、1965(昭和40)年にベトナム戦争が起きると、同時期の誘導装備がまだ未成熟だったジェット攻撃機よりも、低速で低空を飛行できるため命中率に優れると評価され、海軍だけではなく空軍でも対地攻撃用として重用されています。
すると今度は「もはやこの機体が搭載したことがないのはトイレくらいのものである」というジョークがアメリカ軍内で流行しました。これに対し、今度は信管を取り付けた洋式トイレを実際に「トイレ爆弾」として投下。これにより、もはや取り付けたことのないものはないとまで言われるほどになりました。
その後、「積んでいないのはバスタブだけだ」と今度はバスタブを搭載して出撃を試みたという逸話も。ただ、これについては出撃前にその目論見が上層部に発覚したことで、未遂に終わったと言われています。なお、その軽快な機動性を活かしてベトナム戦争中には、北ベトナム軍のMiG-17ジェット戦闘機を撃墜した記録も打ち立てています。
ここまでの傑作機だったがゆえに、2023年現在、アメリカには30機以上のA-1「スカイレイダー」が保存・展示されており、そのうちの半数近くは飛行可能な状態で維持されているほどです。ゆえに、いまでも各地の航空ショーや映画、ドラマなどでは実機が実際に飛行して、その雄姿を大勢の人たちに披露しています。
【了】
Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
エンジンカウリングと機体の間に段差があったり、ケツまでずんどうな形だったり、空力的に改善の余地がありそうなんだけど、これでベストなんだろうか。。。