「東急帝国」さらに拡大? どこ行っても「銀と赤の電車がいる」 直通ネットワークはどれほど膨大なのか
広大な直通先ネットワーク
●東京メトロ副都心線、半蔵門線、南北線(50.0km)
副都心線も半蔵門線も、当初から直通運転を前提に計画・建設された路線。どちらもほぼ全列車が東急線からの直通列車です。田園都市線は渋谷から二子玉川まで地下を走っているため、半蔵門線から乗りっぱなしだと、いつ東急に入ったのか車窓から気づかないこともあります。
田園都市線の車両は長らく8500系がほとんどでしたが、2002年に5000系がデビュー。その翌年に押上経由で東武方面への直通が開始されます。そのほか、超レアな存在として東横線から転属した8590系もわずかに直通用に運用されていました。
●都営三田線(26.5km)、埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線(14.6km)
先述のとおり、目黒延伸とともに東急目黒線の乗り入れが開始しました。この時にやってきたのが、三田線・南北線乗り入れ用に設計されデビューした東急3000系電車です。これまでの東急車両とは全く異なる造形で「東急らしくない顔」との声もありました。
3年後に運行開始した目黒線の新車が5080系で、これは逆に東横線や田園都市線でお馴染み5000系シリーズの一環で「東急らしい顔」となりました。いずれも、東急新横浜線を経由して、相鉄へ乗り入れています。
●東武東上線、伊勢崎線、日光線(108.6km)
東急車が一気に広い世界へ羽ばたいたのが、東武への直通開始です。埼玉方面へ広大なネットワークを持つ伊勢崎線系統のうち、田園都市線からの乗り入れ列車は南栗橋、久喜まで足を伸ばしています。「中央林間~渋谷~南栗橋」の列車は走行距離98.6kmにもおよび、東急線内ではありえなかった長距離運転が実現しました。
さらに2013(平成25)年に副都心線が開業すると、東上線直通で「元町・中華街~渋谷~池袋~小川町」という長距離列車も誕生。走行距離は101.3kmにもおよび、ついに東急車が100kmを超えるロングランに就いたのです。
ちなみに、廃止された東横線~地下鉄日比谷線の直通運転では、東急車は北千住までの運行で、東武線へは乗り入れていません。
●西武有楽町線、池袋線、狭山線(44.5km)
2013年の副都心線の開業で、東急車は東武だけでなく、西武へも乗り入れを果たします。「元町・中華街~渋谷~練馬~飯能」の走行距離は80.9km。さらに長大な「元町中華街~西武秩父」という総距離114.0kmの列車「S-TRAIN」もありますが、こちらは西武の車両が使用されています。
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これら東急車の乗り入れ路線長を合計すると337.4km。これは東京駅を起点にして、西は愛知県の三河安城駅、北は仙台の手前(舘越駅)まで到達する距離です。さらに相鉄いずみ野線は湘南台からさらに西の寒川方面へ延伸する構想もあり、「銀と赤の車両」はますます勢力を拡大していくかもしれません。
ちなみに、「過去に東急を走っていた車両」も含めると、「東急帝国」は全国規模におよびます。昔懐かしい東急の銀の電車は各地へ譲渡され、長野電鉄、北陸鉄道(石川県)、大井川鉄道(静岡県)、富山地方鉄道など枚挙にいとまがありません。
【了】
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