「ロボット戦闘車」はまだ夢か? 海空に比べ兵器無人化進まぬ陸上 その理由と最新事情

ドローンなど、いわゆる無人兵器の実戦投入が進む昨今、海や空に比べ、陸上でのそれはまだあまり耳にしません。最新兵器が集った「DSEI Japan」でも、前回に比べなんだか下火だったとか。その理由と最新の開発状況について解説します。

将来ロボット戦闘車は「バーチャル育ち」に…?

 その問題を解決するには、AIに膨大な機械学習(ML)をさせなければなりません。能力を上げるのに学習させ、経験を積ませなければならないのは、人間と同じです。

 ロボット車の場合、AIが学習するデータは、地面の状態、天気や昼夜の変化、周囲の人間や他の車両の動き、障害物の認識、信号や標識の読み取り等々、膨大になります。実車による実環境のテストを完全に省略することはできませんが、時間もコストもかかりすぎます。条件設定によって学習に数百時間かかることもあれば、窪地にハマって行動不能になり数分で終わってしまうこともあります。

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ロボット戦闘車と歩兵の作戦行動実証試験。実車と部隊が実際に行動してみるとバーチャル空間では分からない問題も明らかになる(画像:アメリカ陸軍)。

 その機械学習を合理化するのが、「全領域モデリングシミュレーション(ADAMS)」と称される技術です。いわば、バーチャル空間の試験場にて膨大な条件設定をした膨大なシナリオを生成しロボット車(のAI)のテストを繰り返す、というものです。オープンアーキテクチャなので、必要に応じてソフトウェアを組み替えて、市販車の市街地走行から戦闘車の戦場での作戦行動まで幅広く学習させることができ、実際に自動車メーカーでも導入されています。アメリカ軍から戦場環境データの提供も受けているそうです。

 ロボット車の開発進歩とともに、ロボット車開発のためのバーチャル試験場の開発も進歩しています。この手の開発状況は、実車プロトタイプがテストを重ねて洗練されていく過程として、リアルに形になって目に見えるものではありません。ロボット戦闘車の姿形はまだ見えてきませんが、ある日突然、完成形が登場するかもしれません。

 バーチャル空間でロボット戦闘車が完成するなら、いっそ戦争もバーチャルのままで収まらないかと考えるのは、ゲームに毒された者の夢想でしょうか。

【了】

【画像】アメリカ陸軍が開発をすすめるロボット戦闘車のプロトタイプ

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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コメント

1件のコメント

  1. ちなみに“無線操縦”も航空機と艦艇では第二次世界大戦前に実用化されていたのに、車両に関してはほぼ聞かない。

    ドイツ軍がラジコン戦車(爆弾)を実戦投入したけど、やはり地形に悪戦苦闘するという似たような理由で実用的ではなかったらしい。

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