欧州戦車市場で「K-兵器」は戦えるか? レオパルド2 vs K2ブラックパンサーの行方

K2が選ばれた理由は納期の問題だけじゃない

 第2に価格が安いことです。仕様や契約条件によって価格は変動しますので正確な比較はできないものの、K2はレオパルト2より約3割から4割は安いといわれます。

 第3がポーランド国内での製造を認めたことです。1000両の内、180両は韓国から輸入しますが、820両はK2PLとして国内生産を行う予定です。これにより、ポーランドは軍事的潜在力を高め、産業を活性化させることができ、韓国はヨーロッパに生産拠点を構えて市場の地位を固めることができるという、両国のウインウインの関係です。

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横行行進射撃を行うK2。センサーと連動した射撃統制装置で目標を捕捉すると自動追尾し、移動目標に対しての行進間射撃も高い精度を誇るという(画像:韓国国防省)。

 またポーランドとドイツの、第2次世界大戦以来の微妙な外交関係も背景にあります。ポーランドはドイツとフランスが共同開発している次世代陸上主力戦闘システム「MGCS」への参加を打診するとともに、ウクライナ情勢を踏まえて計画の加速化を要請したのですが、結局、参加を拒否されました。さらに、ウクライナが「レオパルト2」の供与を要求してもドイツは2023年1月まで頑なに応じなかったことで、ポーランドはフラストレーションを高め、ドイツを信頼できない防衛パートナーと見なしているようです。NATOといっても一枚岩ではないのです。

 一方、ノルウェーがK2ではなく「レオパルト2A7」を選定したのは、また別の視点です。軍は低コストで納期も早いK2を推していたといわれます。しかしノルウェー政府は性能や価格だけでなく、他のNATO諸国との相互運用性、ドイツとの政治経済的な繋がりの強さ、安全保障関係など地政学的要因を重視したことを認めています。

【画像】並べて見比べ ノルウェーのトライアルに臨む「レオパルト2」とK2

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コメント

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5件のコメント

  1. 推敲と校正ちゃんとやってから投稿してよ…😅

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

  2. 何時まで経ってもすぐ壊れる、燃える、爆発するという韓国製の汚名は返上できたと思って良いのか。
    それとも、これからなのかが気になるところです。
    安い・早い・旨いとなるか。それとも安かろう、悪かろうの烙印を押されるかは、丁寧な仕事の有無に尽きると思います。結果が出るのはいつ頃でしょうね。

    海外では韓国製の車が普通に売れて、日本では相変わらず個人で買う人はほぼ皆無の状況。日本人ならではの杞憂なのか、それともフラグ回収なるか。

    • 貴方の認識はアップデートする必要があります。韓国の人口は日本のわずか4割弱しかいないので日本が勝つのは自然なことなはずですが、半導体や家電の現状は御存知のとおりです。少数精鋭なんですよ。

  3. 「質より量」を地で行く敵軍に対抗するには、自軍も頭数を揃えなければ足止めもままならない・・・
    ということで、安くて数を揃えられるK国製がちょうど良かったんですね。
    (とはいえK2もトランスミッションはドイツ製)