首都圏空港「羽田+成田+その他」で年100万回発着案…謎の「その他空港」は結局どこだったのか

では「その他空港」どこだったのか?

 では、民間用ではない都心近郊の飛行場まで検討範囲を広げるとなるとどうでしょうか。

そうなると挙げられるのが、米海軍・海上自衛隊の厚木基地(神奈川県)と米空軍の横田基地(東京都)です。そのなかでも、横田基地は常に空域も合わせて日本への返還や共用化が求め続けられてきたことから、「その他」が暗に示していたのは横田基地だったのではないか、と筆者は考えています。

 それでは、横田基地を民間空港としても利用するという案に、再び期待がかけられることはあるのでしょうか。現時点では、難しいのかもしれません。

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成田空港(乗りものニュース編集部撮影)。

 横田基地はその空域の返還も合わせて、軍民共用化に強い熱意を示した人々もいましたが、100万回の達成が現実になった今は共用化の優先順位はさほど高いと言いづらい状況です。それよりも、現在懸念されている中国による台湾有事が、もしも現実になった際には、横田基地がクローズアップされるのは間違いないでしょう。

 台湾有事の際は、米本土から横田基地への輸送機や戦闘機の飛来数は飛躍的に上がることが大いに予想されます。米軍はその備えとして、空域はおろか基地の発着枠も余裕をもって確保しておきたいのは間違いありません。

 ただし、100万回が実現した後も首都圏の空港需要も伸び続けるのも間違いありません。その時に横田もしくは別の空港へ期待をかけるのか。羽田と成田の発着枠をさらに伸ばすのか。今から議論に備えておくのも早計とは言い切れないでしょう。

【了】

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Writer: 清水次郎(航空ライター)

飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。

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