何かズレてないか? トラック「2024年問題」騒動 物流を崩壊させるのは制度なのか 現場の声聞いて!
問題解決には業界や利用者も目向けて!
「業界は荷主との関係から非常に厳しい立場を強いられてきました。1990年の規制緩和によって事業者は増えたものの、貨物の量はそれほど増えていません。競争が激しくなる中で、お客様を大事にしようということから、このような環境が長く続いてしまい、労働条件も上げることもできずに今に至ったのです」。NX総合研究所の大島弘明氏はこう分析します。
こうした話を聞くと、「2024年問題」は従来からあった運送業界の問題点が、改めて浮き彫りになった形だといえるでしょう。
また、大島氏は「この先は法規制だけでなく、トラックを新たに確保するという視点においても、ドライバーの労働条件の改善が非常に重要になっていくと思います」と、今後の対策についても述べていました。
「2024年問題」が注目された一番の理由は、その影響から我々一般人の生活にも影響が出る可能性があるからです。普通に生活しているとあまり感じないかもしれませんが、トラック物流の恩恵を受ける業種はきわめて多く、いまや生活を支える必要不可欠なインフラです。
しかし、その対策については、法規制や制度面を中心に議論されており、実際にハンドルを握り走り回っているドライバーたちのことは忘れられているかのような印象を受けます。
日本自動車ジャーナリスト協会理事の西村 拝氏は、「2024年問題と言われていますが、これは従来、問題になっていたものを解決する新たなスタートラインだと思います。問題が起きるのではなく解決するためのタイミングです」とコメント。
「2024年問題」で表面化した物流に関する諸問題。「何(誰)が悪い」といった単純化した議論ではなく、それに関わる当事者・ユーザーを含めた包括的な議論と対策を期待したいです。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
この問題は著作権(アニメやソフトの制作等)問題とも共通していて、著作権者らがほしいのも、ライフワークバランスでありながら本質的には権利でも名誉(この作品を雑誌に収録したいから許可をといったうわべだけのもの)でもなく日本のサービス業では主要な先進国より労働の(つまり物に対してではなく人に対して)対価が低すぎる問題である。