ロシア空軍の“不気味な沈黙”なぜ? 実は震えている? 西側からの「新たな脅威」に備え温存か

泥沼化しつつあるロシアによるウクライナ侵攻ですが、ロシア陸軍や同海軍が甚大な被害を出す一方、ロシア空軍は戦力を温存しているように見受けられます。実はこの動き、ウクライナ空軍への新戦闘機配備に対応するためのようです。

ウクライナが欲しがる、ロシア警戒する戦闘機とは?

 ロシア空軍が想定する新たな「脅威」とは、西側諸国によるウクライナ空軍への戦闘機の供与、より具体的に言うならばF-16「ファイティング・ファルコン」です。

 F-16はウクライナ領内だけでなく、その周辺空域まで十分にカバーできる航続距離を持つほか、搭載する高性能な誘導兵器は適切な条件で発射されたなら、ほぼ確実に標的を破壊できる信頼性を持っています。

 8発の「SDB」誘導爆弾を搭載したF-16の2機編隊は、理論上では1回の出撃で16両の戦車を破壊することができるはずです。これはHIMARSロケットランチャー300基分に匹敵し、おそらく40機もあればロシア陸軍は数日で回復不可能な打撃を受け、戦争の勝敗は決定的なものとなるでしょう。

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アメリカ空軍のF-16C「ファイティング・ファルコン」戦闘機。胴体下部に吊り下げている濃灰色の円柱状の装備が誘導爆弾のターゲティング・ポッド(画像:アメリカ空軍)。

 F-16を自由に使われることだけは避けなくてはならない。ロシア側は、アメリカを始めとした西側がウクライナに対してF-16を供与することを強く警戒しており、政治レベルで牽制を入れています。ただ、ロシアにとって幸いなことに、同国には強力なS-400長距離地対空ミサイルをはじめとした、高性能な防空システムが無傷のまま残っていることから、たとえウクライナにF-16が供与されたとしても、すぐに劣勢になることはないでしょう。

 一方でF-16は、対レーダーミサイルのAGM-88HARM/AARGMを搭載することで、敵防空網の制圧能力を得ることができます。

 今年(2023年)春頃からは、ロシア空軍側も滑空型誘導兵器を使用する例が確認できるようになりましたが、それでも誘導兵器が不足しているロシア空軍のSu-30SMやSu-35S戦闘機は、搭載兵装の誘導兵器化がほぼ100%であるF-16と対地攻撃能力を比べた場合、おそらく約10倍の戦力差はあると見てもよいのではないかと筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は考えます。

【胴体下部に注目!】対レーダーミサイルを搭載したロシアのSu-34戦闘爆撃機(写真で見る)

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