ロシア空軍の“不気味な沈黙”なぜ? 実は震えている? 西側からの「新たな脅威」に備え温存か
F-16供与で航空戦力の均衡が崩れる可能性も
現在のところ、ロシアとウクライナ、双方の空軍ともに相手の防空システムが強力すぎて、航空戦力が自由に活動することが阻害されていると言えるでしょう。しかし、ウクライナ空軍にF-16が配備されると、その均衡が崩れる可能性があります。
さらに旧ソ連・ロシア製戦闘機は、空中戦においてこれまでF-16に全くと言っていいほど太刀打ちできていません。その撃墜比は0対70~80という完封負けを喫する状態です。とはいえ、最新のSu-35Sはカタログスペック上ではF-16を上回っていることから、現在は対地攻撃ほど大きな差はないかもしれません。
加えて、どんなに多くのF-16がウクライナに供与されたとしても、1000機もの戦闘機を保有するロシア空軍を上回るとは考えにくく、数の有利はロシア空軍にあります。
2023年4月現在、F-16が実際にウクライナへ供与されるのかは未定であるものの、ウクライナもロシアも航空優勢の確保は手詰まりの状態です。ウクライナへの戦闘機の供与は空中戦を激化させるかもしれません。
どちらも「空の勝利」を得ることが、戦争の勝利を決めうるものと見ていることだけはほぼ間違いないと言えるでしょう。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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