双頭竜みたいな「世界最大の飛行機」、着陸方法も“規格外”? パイロット語る「フツーの飛行機」との違い
特別すぎたゆえ?普通の航空機と結構違う着陸法!
飛行機は横風が吹く状況下で滑走路へ着陸する際には、おもにふたつの方法を用います。接地直前まで機首を風上側へ向けながら降下する方法と、機首を滑走路へ正対させて翼を風上側へ下げる方法です。民間機が機首を横に向け滑走路に進入するシーンなどが動画サイトなどにアップロードされていますが、それはおもに前者の方法が使われています。
しかし「ロック」では、機首をいかに滑走路にまっすぐ向けながら降りるかに神経をつかうと言います。そのため、横風が吹く状況では、風上側へ翼を下げる方法を用いるとのことです。
一般的に、航空機の使う磁気コンパスの多くが上2桁の値で示されますが、「ロック」では末尾も含めた3桁を用いることで、より精密に方向を定められるようになっています。磁気コンパスと滑走路の方角のずれを「0」を保ち進入すると言います。
着陸時など低速時に翼の面積を増やし、飛行を続けられるようにする「フラップ」と呼ばれる装置も、特徴的です。民間機などではフラップの展開具合を複数パターンから選択できることが一般的ですが、「ロック」では、「ジャンボ機」ことボーイング747の車輪ドアの伸縮機構を流用しているため、“格納”と“全開”しか選択できないそう。全開したフラップは気流の影響を大きく受けると、レイニー氏は言います。
このように、操縦室ではパイロットが注意深く細かな操縦をしている「ロック」ですが、外から見れば大きな姿には威容を感じます。ボーイング747が1969年2月に初飛行した時も、随伴機のパイロットが「(飛行する姿は)まさにファンタスティックだ」と伝えると、747のパイロットは「マジェスティック(威厳がある)といってもらいたいね」と無線交信で返した話が残っていますから、巨大機どうし、「ロック」も同じなのでしょう。
ちなみに「ロック」は、古代神話の巨鳥から名付けられたということですが、その姿は動画やSNS越しでも、やはり威風堂々としています。その裏では、パイロットの繊細な乗りこなしがありました。そうなると、この機のフライトはまた異なる意味で注目できるでしょう。
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Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
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