大阪万博で登場する「空飛ぶクルマ」は社会を変えるのか? どう考えてもヘリコプター優位だ

ヘリコプターと何が違う?

「空飛ぶクルマ」は、渋滞も関係なく都市をスピーディーに結ぶ次世代モビリティであるなどと大変もてはやされていますが、ここでひとつの疑問が浮かびます。「空飛ぶクルマ」はそもそも「ヘリコプター」と何が違うのでしょうか。

 実は何も違いません。「空飛ぶクルマ」とは「ヘリコプター」そのものであり、これは商戦略上のために新しい名前をつけただけだと考えていいでしょう。

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日本企業スカイドライブが開発を進めるSD-05(画像:スカイドライブ)。

 たとえば「空飛ぶクルマ」は、ビルの屋上や街中の駐車場といった、比較的狭いスペースから離着陸が期待できますが、これは当然ながらヘリコプターでも可能です。また電動化によってヘリコプターより騒音が抑えられるというのも、そもそもヘリコプターの騒音はエンジンではなく回転翼によって発生するという原理上、それほど大きく変わらないでしょう。

 しかしながら「空飛ぶクルマ」と「ヘリコプター」においてもっとも大きな差が出るポイントが2つあります。

 まず1つ目は「価格」です。2名が乗れるSD-05とほぼ同等のヘリコプターとしてロビンソンR-22があります。R-22は1970年代に開発されたシンプルなレシプロエンジン・ヘリコプターであり、ロビンソン社のウェブサイトでは様々なオプションを選んで実際に見積もりして、発注(購入)までできます。2023年5月時点ではR-22は36万~38万ドル、日本円で約5000万円でした。一方SD-05は約150万ドル、約2億円であり、価格面では現状、4倍もの差が生じています。

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