大阪万博で登場する「空飛ぶクルマ」は社会を変えるのか? どう考えてもヘリコプター優位だ

最近よく聞くようになった「空飛ぶクルマ」。垂直離着陸できる小型の交通モビリティは、従来からある小型ヘリコプターと何が違うのでしょうか。代表的な機種と比べてみたら、ヘリコプターの優秀性を再発見することができました。

傑作ヘリコプターと比較してみた

 2つ目の大きな差は「性能」です。実際にSD-05とR-22の性能を比較してみましょう。

 乗員は両者とも2名で変わりませんが、最大巡航速度はSD-05が100km/hなのに対してR-22は189 km/h、最大航続距離はSD-05が10kmである一方、R-22は460kmと段違いです。飛行時間もSD-05が10分しか飛べないのに比べ、R-22なら180分、すなわち3時間です。

 このように2機種を比較した場合、速度でおよそ2倍、航続距離に至っては46倍、飛行時間は18倍R-22が優れており、SD-05が設計どおりの性能を発揮したとしても全く比較にならないことがわかるでしょう。

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約5000万円で購入することが可能な2人乗りヘリコプター、ロビンソンR-22(画像:ロビンソン・ヘリコプター・カンパニー)。

 こうした性能面における問題の原因は、もっぱらバッテリー性能の低さにあります。バッテリーがもっと軽く、小さく、大電力を蓄えられるようになった未来なら違うかもしれませんが、現実的に考えるならば当面「空飛ぶクルマ」は「劣化したヘリコプター」から脱却することは難しいのではないでしょうか。

 遠い未来はわかりませんが、国や自治体さえ喧伝する2025年の大阪・関西万博で「空飛ぶクルマ」がデビューし、社会の何かが変わるかのようなストーリーは夢物語に近く、世界中の「空飛ぶクルマ」の開発者でさえ、そのようなことは考慮すらしていないのではと筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は推察します。

 またコスト面だけではなく、当然「航空機」として安全に飛行が可能であることを証明しなくてはなりません。三菱スペースジェット(MRJ)はこの安全の証明(型式証明)に失敗し商業化を断念しなくてはなりませんでした。

 非常に厳しい言い方になりますが、「空飛ぶクルマ」で可能なことは全てヘリコプターで可能です。しかも値段はヘリコプターのほうが格段に安く高性能なのですから、もし「空飛ぶクルマ」が新しい交通手段やビジネスを開拓できるのであれば、それは既にヘリコプターによって実現されていると言えるでしょう。

【了】

【コイツも空飛ぶクルマ!?】驚愕の36発ジェット機からホバーバイクまで色んなカタチをイッキ見!

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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