電動キックボードで「飲酒・2人乗り事故」甘いわけがない! 初の危険運転致死傷 気軽に乗れても罪重く

飲酒のうえ電動キックボードを2人乗りして事故を起こし、運転していた男性が「危険運転致傷」の容疑で検挙されました。いうまでもなく運転免許の必要な「車両」、その飲酒事故の代償はかなり重いようです。

電動キックボードで「危険運転致傷」 初の立件

 電動キックボードの運転者が、危険な運転や、その運転が原因で他人を負傷させたことによる「危険運転致傷」の容疑で東京検察庁に送致されました。電動キックボードの飲酒による危険運転致傷での立件は全国で初めて。多発する電動キックボードの飲酒運転の危険性について、改めて警告する内容です。

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事故現場の付近の目黒通り。2人乗りのキックボードは路肩を走行中、運転を誤り、車道と歩道を分ける縁石に衝突した。写真のように普通に走っていれば、事故は防げた(中島みなみ撮影)。

 警視庁目黒署は2023年5月18日、電動キックボードで事故を起こした運転者を「危険運転致傷」で書類送検しました。運転者は東京都目黒区に住む26歳の男性会社員です。

 男性は2月12日21時23分頃、飲酒の影響で正常な運転ができない状態で、目黒通り(目黒区下目黒)を走行中、歩道と車道を分ける縁石に衝突し転倒。同乗していた38歳女性にけがを負わせた疑いです。女性は外傷性クモ膜下出血で全治5週間の負傷でした。

 現場は歩道と車道が縁石と防護柵で分離された片側2車線の緩やかな坂。2人乗りの電動キックボードは車道の路肩を走行していましたが、何らかの原因で運転を誤り、縁石に衝突。車道側に転倒した時に負傷したとみられています。飲酒後に帰宅する途中の事故でした。 

 乗っていた電動キックボードは運転していた男性所有の車両です。個人所有の電動キックボードは原動機付自転車に分類され、2人乗りはできません。ヘルメットの着用義務もありますが、2人とも着用していませんでした。

 小径タイヤの電動キックボードは、段差に衝突した衝撃の影響を受けやすく、特に飲酒した場合には、地面に足を出して体を支える間もなく転倒する傾向があります。2022年9月にマンションの車寄せで発生した電動キックボードの飲酒事故では、運転者が頭部を路面に強打し、死亡しています。

 今回の運転者による「危険運転致傷」容疑は、自動車運転処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)によるものです。15年以下の懲役に問われる可能性があります。

【了】

【自爆?自業自得?】事故現場の状況(写真)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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