「赤ちゃんが乗ってます」小さな命に気づいてもらうため…本当か? 付きまとう“ウワサ”の真相
クルマのリアガラスで見かける「赤ちゃんが乗ってます」ステッカー。誕生の背景でまことしやかに語られるエピソードがありますが、単なる“うわさ”の可能性もあります。
考案者インタビュー『ニューヨーク・タイムズ』にあり
道行くクルマのリアガラスに、「赤ちゃんが乗ってます」といったステッカーが貼られているのを見たことがあるかもしれません。「赤ちゃんが乗っているのだろう」と理解はできますが、見た人はどうすればよいのか、という声もしばしば聞かれます。
ステッカーを貼る目的について、SNSなどでは「幼い子どもが乗っているから、周囲に対し配慮するようアピールするため」という声があります。同時にステッカーが生まれた背景として、次のような話もまことしやかに語られています。
それは、「ある夫婦と赤ちゃんが乗ったクルマが大破する事故に遭い、夫婦はレスキュー隊に救助されて一命を取り留めたが、小さな赤ちゃんの存在はレスキュー隊に気づかれず、亡くなってしまった」というエピソード。「両親は自分たちのような悲劇が繰り返されることのないよう、このステッカーを作った」とするものです。
このステッカーの発祥は1980年代のアメリカです。「BABY ON BOARD!」(赤ちゃんが乗っています!)と書かれたものが1984(昭和59)年に発売され、人気を博しました。考案者であるセーフティーファースト社のマイケル・ラーナーさんは、1986(昭和61)年10月9日付の『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューで次のように語っています。
「交通事故で赤ちゃんが命を落とすケースが多かったことから、周りのドライバーに注意を促し、子どもの安全について意識を高める目的で作成した」
しかし、マイケルさんがステッカーを作ったのは、まだ子どものいない独身時代のことでした。あわせて記事には、「考案者が子どもを失ったことから開発した」という“うわさ話”が、当時のアメリカですでに存在していたことも書かれています。
もちろん、子どもの安全を願ってステッカーを掲出しているドライバーもいることでしょう。考案者の願いに通じるその思いがあるからこそ、前述のようなうわさが信じられているのかもしれません。一方で、同種のステッカーを日本で販売しているメーカーの関係者は「ファッションという側面もあるかもしれません」とも話します。
【了】
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