砲塔が分離して戦闘機に!?『ガンダム』の謎戦車「マゼラ・アタック」意外すぎるメリット
「マゼラ・ベース」の背が高いワケ
5分しか飛べないのは航空機としては欠点ですが、空中静止まで可能な「マゼラ・トップ」の運動性能を考えると、車体側の「マゼラ・ベース」に再装着して、推進剤や砲弾を再補給できるのでしょう。これも、補給物資搭載スペースを鑑みて、「マゼラ・ベース」は車高が高いという考え方もできるかもしれません。
「マゼラ・トップ」に大量の推進剤や砲弾を詰んで運動性能を下げるより、「地球連邦軍」の61式戦車がこちらを捕える前に、飛行→砲撃→補給の繰り返しで、相当数を撃破する方が有利、と「ジオン軍」は考えたのだと筆者は推察します。マゼラ・トップの飛行速度は300km/hと低速ですが、短い飛行時間を考えると、速ければ再装着の難易度が上がるからでしょう。
「マゼラ・トップ」の再装着に30秒かかるとして、行き帰りに4分30秒(270秒)使えます。おおよそ2分飛行して攻撃し、2分で「マゼラ・ベース」へ戻ると仮定するなら、主砲射程を考えると11km範囲の敵を砲撃できます。
「地球連邦軍」の主力戦車である「61式戦車」の最高速度は90km/hですから、11kmを詰めるのに7分20秒(440秒)かかります。61式戦車が「マゼラ・ベース」を捕捉する前に、4、5回は空中からの砲撃を受けるわけです。そして「マゼラ・アタック」の速力は61式戦車を上回るため、理論的には攻撃→再装着後、距離を開けて、何度でも空中攻撃を行えます。
もちろん、これは筆者が考えた机上の空論ですし、実際には制空権の優劣や、モビルスーツの有無で、想定したような戦法が通用しないことも多々あったでしょう。
現実世界を前提に考えると、荒唐無稽に思える「砲塔飛行戦車」ですが、『機動戦士ガンダム』でよく出てくる「ミノフスキー粒子」の存在を考えると、ある程度の合理性を有していたのかもしれません。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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