羽田空港の旅客機接触 誘導路で発生もなぜ「滑走路閉鎖」? 実運用から考えうる判断の経緯

羽田空港の誘導路で出発機2機の接触事故が発生。このとき、誘導路で起こった事故にも関わらず、滑走路が閉鎖されました。なぜこのような判断に至ったのか、実際の運用やルールから見ていきます。

「管制官が自ら気づく」、実は“至難のワザ”?

 地上にいる航空機の管制を行う地上管制席は、管制室内から航空機を視認して交通状況を把握します。羽田空港の管制塔は高さ100m以上あり、管制室は360度見渡せるようガラス張りの構造ですが、航空機の細部を肉眼で確認するには限度があるため、大小様々な双眼鏡が常備されています。次から次へとせまりくる航空機を円滑に処理するためには、自分が交信を担当する航空機はもちろんのこと、直接管轄していない航空機を含めて常に地上と空の監視を行う必要があります。

 さらに、パイロットとの交信と管制塔内でのやり取りを把握しながら、同時進行で便名、発着地、使用滑走路、飛行ルートなどの確認や指示内容の記録のため、管制塔内に設置された情報端末の操作も行う必要があります。そのため、見た目にも分かりやすい事象であれば自ら異変に気がつくことができますが、肉眼で今回のケースのような航空機翼端のわずかな違和感も見逃さないというのは容易ではありません。

 かといって、広大な敷地を多数の航空機が動き回る大空港で、1機1機を双眼鏡を使い追従する余裕もありません。そこに集中していたら他がおろそかになり、違うアクシデントを誘発する可能性もあります。そうなると、実際に航空機を操縦するパイロット自らが周囲の状況を把握して安全を確保するのが妥当でしょう。

 プロであればパイロットからの通報がなくても管制官が気付いて当然、との意見を否定することは出来ませんが、事実、運航の最高責任者はパイロットであり、管制官からの指示を「Unable(不可能だ)」と返答する権利を有しています。滑走路の離着陸や上空の飛行における誘導と、地上面の走行管理では責任の度合いが異なることは確かです。

【複雑怪奇?】羽田空港の誘導路構成&事故発生現場

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