羽田空港の旅客機接触 誘導路で発生もなぜ「滑走路閉鎖」? 実運用から考えうる判断の経緯

羽田空港の誘導路で出発機2機の接触事故が発生。このとき、誘導路で起こった事故にも関わらず、滑走路が閉鎖されました。なぜこのような判断に至ったのか、実際の運用やルールから見ていきます。

「部品散乱の可能性」意外に考えられるポイントは?

 本題に戻りますが、管制官がパイロットから「接触が発生したためここで停止するか、駐機場に戻って点検を行いたい」とか「エンジンをシャットダウンして今すぐ外部点検の車両や牽引車両を要請したい」などの通報があったと仮定します。それを聞いた管制官は、適切なアクションを考えるためにも、可能な限り情報を集めなければなりません。ただし、最も業務負荷が高いパイロットとの交信は、状況を読み必要最小限に留めることに考慮しなければなりません。

 今回、滑走路閉鎖する理由の一つは、滑走路周辺における高さ制限(制限表面)によるものが考えられます。航空法では、航空機の飛行の障害物とならないよう、空港周辺に建設可能な施設などに課す高さの上限が定められています。航空機もまた一定の高さを持つ物体であり、滑走路の手前で離陸のために待機する場合には垂直尾翼の一部が制限にかかる場合がありますが、これには特例があり、管制官からの指示に従い遅滞なく動けるものは対象外とみなされます。

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羽田空港のタイ国際航空機。接触事故を起こしたものとは別モデル(乗りものニュース編集部撮影)。

 今回、接触した2機は消防車両も周辺に集まっていました。おそらくは、損傷の影響拡大を防ぐ意向から、その場でエンジンを停止する判断に至ったと考えられます。つまり2機が「遅滞なく動ける物体」ではなくなったということです。このことから、付近の滑走路の離着陸にかかる障害物の扱いとなり滑走路閉鎖を判断したと考えられます。

 事故を起こした場所は、位置的に滑走路に近いことから、損傷した部分の破片が滑走路に落ちていることも考えられますし、消防車両が現場に急行するため滑走路の横断があれば滑走路を閉鎖する可能性はあります。いずれにせよ、滑走路閉鎖は管制官が任意で判断するものではなく、根拠があって合理的にやむを得ない状況でのみ行われるということになります。

【了】

【複雑怪奇?】羽田空港の誘導路構成&事故発生現場

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