お届け時間は“秒指定”OKって!? 空自の宅配便「物料投下」のスゴ技 C-2輸送機からそんなものまで落とすとは!

物料投下にもいろいろ種類あるんです

「物料投下」を一番利用するのは陸上自衛隊の空挺部隊です。この部隊は速やかな遠方展開を行うために航空機から落下傘を使って降下・進出する、いわゆる空挺作戦を実施しますが、その時に使用する車両や物資を届けるために、物料投下が用いられます。

 とはいえ、飛行中の航空機からパラシュート付きの荷物をポンポン投下すればよいものでもありません。安全・確実に物資を届けるためには、その荷物の大きさや種類、それに投下するときの状況を的確に判断し、いくつかある方法のなかから適切と思われる手段を選ぶ必要があります。

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美保基地航空祭にて会場正面で「物料投下」を行うC-2輸送機(布留川 司撮影)。

 そのひとつが、美保基地航空祭で行われた「CDS(大型投下容器投下方式)」と呼ばれる方法です。この場合は、一辺が約1.2mある板状の大型投下容器の上に、貨物と落下傘を固定します。

 輸送機の貨物室の床にはローラーが装着されており、投下時に機体を上に向けることで、容器はローラー上を滑って機体後方へと滑り落ちて機外に放出されます。投下時の輸送機の最低高度は約180mです。

 なお、CDSを行う場合、前出の大型貨物容器の最大搭載量は1tで、C-2輸送機にはその容器を最大20個まで搭載できます。実施時には、これらが一瞬で連続投下されるため、複数の荷物を短時間で地上に届けることができるのがCDSの利点といえます。

 CDSよりも、より大きく重い貨物で使われるのが「PDS(プラットフォーム投下方式)」です。こちらは横幅108インチ(約2.7m)ある、より大きな板状のプラットフォームを使います。そこに貨物と落下傘を固定する点はCDSと変わりませんが、投下するときはまず機外に「抽出傘」と呼ばれる小型パラシュートを放出します。これが開くことで、その空気抵抗でプラットフォーム自体を機外に引っ張り出します。放出されたプラットフォームは、落下傘と抽出傘によって減速して、CDSと同様に減速して地上に着地します。

 PDSで使われるプラットフォームは、複数のバリエーションがありますが、最大で16tまで貨物を搭載可能なので、高機動車やトラックはもちろん、軽装甲機動車のような戦闘車両も空中投下することができます。

 なお、CDSやPDSよりも小さい物資を投下するときに使われるのが「LCLA(低コスト低高度投下)」という方式です。こちらは手押し台車程度の小さい木製パレットに軽量の荷物と落下傘を固定していますが、その小ささゆえに投下は完全な人力で行われます。担当するのはロードマスター(空中輸送員)と呼ばれる機内貨物を管理する乗員で、手押しでランプドアから滑り落とすことで機外へと放出されます。

【投下直前、緊張の瞬間!】物料投下に用いられる各種貨物の接写ほか

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コメント

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2件のコメント

  1. "降下速度は毎秒6~8秒" ????

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。