お届け時間は“秒指定”OKって!? 空自の宅配便「物料投下」のスゴ技 C-2輸送機からそんなものまで落とすとは!

秒でお届け! 秘訣は自動化された計算と乗員の連携

 今年(2023年)の美保基地航空祭で「物料投下」の展示を行った際、会場では隊員による次のようなナレーションが流れていました。「(物料投下は)いわば空飛ぶ宅配便です。食料はもちろん、車やバイクも運ぶことができます。それに秒単位の時間指定も可能です」。

 一般家庭で利用する宅配便でも時間指定はできますが、さすがにそれを秒単位で指定することはできません。しかし、輸送機の場合は空を飛んでくるため、交通渋滞に巻き込まれることもなく、機体自体の操縦によって高い精度で時間調整が可能なのだそう。

「秒単位の時間指定ができる宅配便」と言ってしまうと、何か軽いイメージをもってしまいますが、軍用輸送機が本来使われる軍事作戦においては、正確な時間指定は作戦全体の成否を左右する重要な要素です。

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CDS方式で投下された貨物。降下速度は6~8m/秒と速く、貨物の周りは衝撃吸収材が付けられている(布留川 司撮影)。

 なお、C-2には、航空自衛隊の他の輸送機よりも進化したナビゲーションシステムが備わっており、GPSと連携したそれら装置は、目標地点と機体の位置・速度から到達時間を秒単位でリアルタイムに計算することができます。

 C-1やC-130では航法を担当するナビゲーターが手動で計算していますが、新しいC-2ではそれを機械が自動的に計算してくれるため、より精度の高い航法が可能となっています。それを端的に表現したのが、前出の「秒単位の時間指定」というナレーションなのでしょう。

 もちろん、正確な「物料投下」を行うために一番重要なのはC-2に乗り込む乗員の技術です。ナレーションの最後でも「コントロールを行うパイロット、正確な時間コントロールを行うナビゲーター、大切な物料をいつでも安全に投下するロードマスター、全員が協力することでしか成しえない、航空自衛隊の宅配便の技なのです」と紹介していました。

 現在、増備が続けられているC-2輸送機。充足した暁には、航空自衛隊の作戦能力は飛躍的に高まることは間違いないと言えそうです。

【了】

※誤字を修正しました(7月19日19時35分)

【投下直前、緊張の瞬間!】物料投下に用いられる各種貨物の接写ほか

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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コメント

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2件のコメント

  1. "降下速度は毎秒6~8秒" ????

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。